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栄養/サプリメント
ミネラルのサプリメントを摂取していますが、同時に摂取したほうがよいと言われるものがあります(例えばカルシウム+マグネシウムなど)。どのようなミネラルにどのようなものを組み合わせたらよいのでしょうか?

(私が指導している)メンバーさんも、フィットネス・インストラクター仲間もみんなサプリメントを服用しているのですが、中でもCoQ10が人気です。疲れがとれるとか、老化防止に効くとか、心臓を強くしてくれるなどと言われますが、実際は本当に効いているのかどうかは疑問です。CoQ10 に関する科学的な根拠はあるのでしょうか?

コーヒーを飲む習慣がありますが、カフェインの利尿作用が脱水をもたらすと聞いたことがあります。運動前などは控えたほうがよいのでしょうか?

サプリメントを毎日摂る人が多いと聞きますが、食事さえしっかり摂っていれば必要ないのではないでしょうか?

同じ食べ物でも温かいものと冷たいものではカロリーは違うのでしょうか?また、キュウリやナスのような夏野菜にはからだを冷却する作用があると聞きましたが本当でしょうか?

最近、アルファリポ酸というサプリメントをよく目にするのですが、どのような効果があるのでしょうか?

運動中の水分摂取の重要性は理解していますが、飲みすぎもよくないと聞きます。どうしてでしょうか?

厚生労働省による『日本人の栄養所要量-食事摂取基準-』の名称が今年度より『日本人の食事摂取基準』に変わりましたが、何がどう変わったのでしょうか?また、この改訂はフィットネス指導者にとって、どんな意味が考えられますか?

多くの人がいろいろなサプリメントを摂っているようですが、私は基本的に食事さえしっかりバランスが取れていればサプリメントは必要ないと考えています。しかし、(私が指導している)メンバーさんからサプリメントの飲み方について質問されることがあり、いったいどれだけの量を摂るようにすすめればよいのか答えに困ることもしばしばです。実際のところ、サプリメントはどれだけ摂ればよいのか何か基準みたいなものはあるのでしょうか?

疲労回復を促進するには、軽い筋運動を行ったほうがよいことはわかりました。では、疲労回復のための栄養補給として、運動後はどのようなことに気をつければよいでしょうか?

私は、筋力アップや疲労回復を促進する目的で、運動後にアミノ酸やプロテインを摂取しています。前回の話ですと、運動中のアミノ酸摂取の効果はまだはっきりしたことがわからないとのことでしたが、運動後のアミノ酸やプロテイン摂取はどうなのでしょうか?効果的な摂取方法を教えてください。

最近ではアミノ酸飲料がたくさん売られていますが、一般に「ダイエット飲料」として飲んでいる人もいれば、「からだによい健康飲料」として飲んでいる人もいるようです。指導者にしても、正しく理解して飲んでいる人はそれほど多くはないように思います。フィットネス指導者として必要なアミノ酸の基礎知識をわかりやすく説明してください。

日によってレッスン数や指導場所の異なる指導者にとって、規則正しい食生活の実践は容易なことではありません。あいた時間にファーストフードで済ませてしまうこともよくありますが、レッスン中は胃もたれするので、結局は食事を抜いてしまうこともあります。とはいえ、空腹で指導すると後半に必ずバテてしまうので、レッスン前には何かエネルギーになるものを口にしたほうがよいと思っています。レッスンの前に手軽に摂れて、すぐにエネルギーとなり、しかもおいしい食品はあるでしょうか?

カフェインはビタミンCを破壊(?)すると人から聞いたことがありますが、清涼飲料水の中にはどちらも含まれたものがあります。カフェインとビタミンCとの関係は、どのように理解したらよいのでしょうか?

サプリメントの摂取が当たり前になってきている昨今、(私が指導している)メンバーさんからの栄養補給に関する質問も多くなってきています。特に、どのサプリメントをどれぐらい摂取したらよいか困っている方が多いようなのですが、どのようにアドバイスすればよいでしょうか?

疲労回復を促進し運動効果を上げるためには、トレーニング後の栄養補給のタイミングが重要だと聞いたことがあります。運動後はどういったタイミングで栄養補給を行えばよいのでしょうか?
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ミネラルのサプリメントを摂取していますが、同時に摂取したほうがよいと言われるものがあります(例えばカルシウム+マグネシウムなど)。どのようなミネラルにどのようなものを組み合わせたらよいのでしょうか?

 世の中に氾濫しているとさえ言えるサプリメント。みなさんの食生活は大丈夫ですか?「サプリメントを摂っているからまったく問題ありません!」なんて言っているフィットネス指導者はおられないでしょうか?「栄養摂取にはバランスが大切」と理解されている方は多いと思いますが、栄養素の中には過剰摂取が健康に害をもたらしたり、他の栄養素の吸収や体内での利用を妨げたりするものがあります。
 ご質問にもありますように、カルシウムとマグネシウムは同時に摂取したほうがよいとされ、売られているサプリメントにはこれらの栄養素が両方含まれているものも多くあるようです。この理由の一つとして、骨や歯の主要成分にはカルシウムだけでなくマグネシウムも含まれており、両方を適度に摂取することが骨などの形成には不可欠であることが挙げられるかと思います。しかし、一般に考えられているようなマグネシウムの摂取が小腸からのカルシウム吸収を高めることはないようです(Spencerら、1994年)。むしろ、普段のカルシウムの摂取量が低い状況でマグネシウムを摂取すると、カルシウムの尿中の排泄量が多くなることが示唆されていることから、逆にマグネシウムの摂取時にはカルシウムも摂取することが必要であると考えたほうがよいかもしれません。カルシウムの摂取がマグネシウムの吸収を高めたとする研究報告もあります(Chonanら、1997年)。
 一方で、健康上必要不可欠なカルシウムですが、その過剰摂取が尿路結石を引き起こす可能性があります。しかし、マグネシウムの摂取は、尿路結石の原因であるシュウ酸(ほうれん草や青いバナナなどに多く含まれる)の吸収を抑制し、シュウ酸がカルシウムと結合して結石になることを防いでくれるようです(Zimmermann DJら、2005年)。これも同時に摂取することの理由に挙げられるかもしれません。
 人体にとって必要な栄養素のそれぞれの機能はほぼ明らかになっています。しかしながら、それらの摂取にはバランスを考えることが重要です。各栄養素単体の必要性だけを見て闇雲に摂取しても、全体のバランスから見ると思わぬデメリットを生じ、そのメリットよりも大きくなることが多々あります。栄養素の中には摂取量が増えると吸収率が低下するものがあります(ビタミンC、B12、E、鉄、葉酸、カルシウムなど)。また、鉄のように体内の貯蔵量が減ると自ずと吸収率が高まるものもあります。
 その他、亜鉛は鉄やカルシウムの摂取によって吸収率が低下します。鉄もカルシウムやリンの摂取によって吸収率が低下します(ビタミンCやたんぱく質で高まる)。また、銅は亜鉛や鉄、ビタミンCの摂取によって吸収率が低下することも事実です。ビタミンAとKはビタミンEの摂取により、ビタミンB12はビタミンCの摂取によって吸収率が低下・・・。
 このように、サプリメントと言ってもあくまで補助食品ですので、バランスを保つために摂取することこそが大事であって、たとえ人体に必要な栄養素だからといってむやみに摂取することは効果がないだけでなく、生体の機能上のアンバランスまで引き起こしますので注意が必要です。
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(私が指導している)メンバーさんも、フィットネス・インストラクター仲間もみんなサプリメントを服用しているのですが、中でもCoQ10が人気です。疲れがとれるとか、老化防止に効くとか、心臓を強くしてくれるなどと言われますが、実際は本当に効いているのかどうかは疑問です。CoQ10 に関する科学的な根拠はあるのでしょうか?

 CoQ(補酵素Q)は、ユビキノンと言われる補酵素的作用をもつビタミン様の物質です。生物界には広く存在し、人や牛に見られるものをCoQ10と呼ぶようです。心臓や肝臓、腎臓などに多く存在し、細胞内のミトコンドリア内の電子伝達系(酸素を利用してATPを合成する仕組み)における重要な役割を担っています。しかしながら、ビタミンのように補酵素的作用をもってはいるものの、ビタミンと違って体内には多く存在し食事からの摂取が必要とされていないため、ビタミンとは扱われていないのが現状です(「新生化学入門」南山堂)。しかも、電子伝達系の他の物質よりも高濃度にあることからも欠乏症はほとんど知られていません(Lalaniら、2005年)。
 さて、健康食品市場ではCoQ10がいまだ大人気のようです。では、その効果の科学的根拠にはどんなものがあるのでしょうか。慢性心疾患をもつ平均75歳男性では、CoQ10含有のビタミン剤を9ヶ月間にわたって摂取したことによって心臓機能が改善されたと報告されています(Witteら、2005年)。また、平均6.7年の慢性疲労を有する男女について、サプリメント(CoQ10、DHEA、人参、ビタミン)、ヨガ、運動、サポートグループなどの疲労軽減効果を調べた研究では、ビタミン、運動、ヨガには効果が見られたものの、その他のものについては何ら効果がなかったようです(Bentlerら、2005年)。
 CoQ10サプリメントの運動パフォーマンスへの効果を見た研究も報告されていますが、その多くは効果を認めず、効果があったとするものでもその程度はそれほど高いものではなかったようです(Rosenfeldtら、2003年、Williams、1992年、Braunら、1991年)。
 しかしながら、先述のように、慢性心疾患や高血圧の患者が服用することによりそれらの症状を改善させる可能性は広く認められており(BonakdarとGuarneri、2005年)、またまれな欠乏症(遺伝的な疾患)においてもCoQ10サプリメントの有効性が確認されているようです(Lalaniら、2005年)。
 このように、2001年まではCoQ10が医薬品扱いだったことを考えると、このように疾病の治療に用いられる現状には納得がいきますが、もともと健康な人が体内から欠乏することもほとんどない物質を摂取することにどれほどのメリットがあるのでしょうか。幸い、副作用が報告されていない点からも、2001年に厚生労働省が食薬区分を改正したことにより食品として認められるようになりましたが、今後の動向には注意が必要だと思います。
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コーヒーを飲む習慣がありますが、カフェインの利尿作用が脱水をもたらすと聞いたことがあります。運動前などは控えたほうがよいのでしょうか?

 朝の一杯のコーヒー。習慣的にコーヒーを飲む人では目覚めのコーヒーが欠かせませんね。かくいう私もコーヒー党。運動前でも飲むことがあります。
 コーヒーに含まれるカフェインが持久力などのパフォーマンスを高める効果を持つことは古くから知られているところです。また、交感神経系の興奮を促し、思考力や集中力も高めることが知られています。そして、これらの効果は習慣的にコーヒーを飲む人よりもそうでない人のほうで顕著に起こるようです(BellとMcLellan、2002年)。
 ところで、一般的にコーヒーには利尿作用があると認識されていますが、最近の研究報告では必ずしもそうとは言えない根拠が示されています。コーヒーを飲む習慣がそれほどない人を対象に11日間にわたって毎日3-6mg/kg体重のカフェインを与え続けたところ、カフェインを摂らなかったグループと比較して、24時間の排尿量、尿比重、体重、ミネラル(ナトリウム、カリウム)の排泄量、尿の色等に何ら違いのなかったことがわかりました(Armstrongら、2005年)。これらのことから、一般的に知られるカフェインの利尿作用や脱水促進作用には必ずしも根拠があるとは言えないようです。
 また、運動中のカフェインの摂取が腸からの糖質吸収を促進するといった報告もあります(Van Nieuwenhovenら、2000年)。通常のスポーツドリンク1リットルあたりに150 mgのカフェインを加えたところ、スポーツドリンクだけの場合より糖質の吸収が有意に高まったようです。これは、効率のよい糖質の吸収が必要となる持久的スポーツや、運動中のエネルギー維持が必要なエクササイズを行う上でカフェインが有効な手段となる可能性を示唆しています。加えて、2時間の自転車エクササイズ中のカフェイン(5mg/kg/時間)を含むスポーツドリンクの摂取が、糖質の吸収を促進し、その消費量も高めたことも報告されています(Yeoら、2005年)。
 このように、パフォーマンスを高める手段としてカフェインを用いることの有効性がさらに検証され、実際にその効果が改めて確認されています。また、これまでにカフェインの負の効果として認識されていた利尿作用もその認識が改められようとしています。しかし、パフォーマンスを高めるからといって安易に薬物やサプリメントに手を出すことが危険なように、カフェインについても取り過ぎることによって起こりうる害を再認識する必要がありそうです。また、カフェインを含むからといって缶コーヒーやキャラメルラテなどを飲み過ぎると結局はカロリーの摂り過ぎになってしまいますね。何でもほどほどがよいということでしょうか。
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サプリメントを毎日摂る人が多いと聞きますが、食事さえしっかり摂っていれば必要ないのではないでしょうか?

 「ビタミンCは寒い季節にこそ最適」(ネイチャー電子版、2005年6月28日) ノーベル化学賞と平和賞の2度の受賞者であるライナス・ポーリング博士は、1970年代に「1000mg超のビタミンCの大量摂取が免疫機能を高めて風邪を予防する」という説を提唱し注目を集めました。しかし、日常生活での摂取では、ほとんど風邪の予防目的を果たしていなかったことが過去の多くの研究論文を調査した結果わかりました。とはいえ、寒さの中でアクティブに活動したり運動したり人ではビタミンCの摂取が風邪の予防をもたらすとの見解が示されています。ビタミンCのようなサプリメントも、生活環境や習慣によって使い分ける必要がありそうですね。
 さて、ご質問の件ですが、確かにこれは正論ではないかと思います。毎日の食事が栄養摂取の基本と言えるでしょう。しかし、個人の食習慣や環境の変化によって栄養摂取の状況も異なることも事実です。文部科学省(旧科学技術庁)が約20年ごとに調査発表している「日本食品標準成分表」を見てみると驚くべきことがわかります。野菜100gあたりに含まれるビタミンCの量を見てみると、約20年ごとの調査のたびに同じ野菜でもその含有量が減っていく傾向にあるようです。たとえば、1963年の報告によるとグリーンアスパラ100gに含まれるビタミンC量は90mgでしたが、2005年の報告では15mgと実に6分の1まで含有量の減少したことが示されています。同様に、ビタミンC含有量のもともと多いパセリやブロッコリーにしても、1982年の報告ではそれぞれ200と160mgであったのが、2005年の報告ではそれぞれ120mgまで低下し、実に25-40%も減少していることが示されています。ビタミンの摂取に気をつけるために野菜をしっかり摂っているつもりでも、実はその野菜そのもののビタミン含有量が減ってしまっていては元も子もありません。では、今以上に野菜を摂るように心がければよいでしょうが、調理方法をいくら工夫したとしても食べる量には限界があります。環境の変化が野菜のビタミン含有量に影響しているとすると、今後ますます栄養摂取への懸念が高まります。したがって、こんなことからサプリメントの活用がますます必要になる機会も今後増えるとも考えられます。
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同じ食べ物でも温かいものと冷たいものではカロリーは違うのでしょうか?また、キュウリやナスのような夏野菜にはからだを冷却する作用があると聞きましたが本当でしょうか?

 暑くなりました。つい冷たいものを欲してしまう季節です。暑さでほてったからだを冷やすために冷たい飲み物や食べ物が好まれます。しかし、それらに含まれるカロリー自体は変わりありません。また、逆に温かい食べ物や飲み物はからだを温めてくれますが、この場合も摂取するカロリー自体は同じです。
 通常、食事はエネルギー代謝を高めます。これは、食物の消化や栄養素の吸収等にエネルギーを必要とするからです。また、食事中や食後に汗をかくことがありますが、これは食事による代謝亢進の結果、からだが熱を発生しているからです。これを食餌誘発性体熱産生と言いますが、個人差はあるものの、食事の量(回数)や種類によって1日の総消費カロリーの5-15%を占めます。決して少なくはありませんよね。これをうまく利用すれば体重管理にも役立ちそうです!
 この熱産生の効果は栄養素によって異なり、たんぱく質、糖質、脂質では、たんぱく質が最も大きく、脂質で最も小さくなります(Westerterp、2004年)。また、たんぱく質、糖質、脂質による混合食では、たんぱく質の豊富な食事(62%たんぱく質、28%糖質、10%脂質)のほうが糖質主体の食事(17%たんぱく質、75%糖質、8%脂質)より、食後3時間にわたって熱産生が高まったと報告されています(Scott とDevore、2005年)。 その他、にんにくや唐辛子に含まれる成分(アリシンやカプサイシンなど)も食事による熱産生を高める作用があるようです。
 運動の食餌誘発性体熱産生への効果を検討した研究によると、運動群では非運動群と比較して食後の熱産生が高く、しかも、その効果は中糖質・高脂肪食(37%糖質、45%脂質)よりも高糖質・低脂肪食(79%糖質、1%脂質)で顕著に現れました(Thyfaultら、2004年)。また、食後の運動時のほうが、食べないで行う運動時より熱産生が大きく、食事量に関わらず運動が熱産生を高めることが知られています(Bray、1974年)。
 ところで、キュウリやナスなどの野菜にからだを冷却する作用があるということですが、東洋医学の医食同源や薬膳の考え方では、食べ物にはからだを温めたり冷やしたりする性質があるとされています。食べ物が熱を作り出し、あるいは食べ物そのものがからだを温める作用については上述のとおりですが、冷却する作用があるかどうかは定かではありません。むしろ、調理の仕方や料理の種類によるところも大きいのでは?!(つまり、冷たくして食べる料理が多い)。
 私たちのからだには発汗と循環によりからだを冷却する仕組みがありますが、冷たい食べ物や飲み物をとると循環によりからだを冷却する作用が高まる可能性があります。女性では、男性と比較して、発汗作用よりもむしろ循環によりからだを冷却する仕組みが優れていますので、暑い日に冷たいものを食べる効果は絶大?!だから、余計に冷たい食物の影響が懸念されるのかもしれませんね。
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最近、アルファリポ酸というサプリメントをよく目にするのですが、どのような効果があるのでしょうか?

 今年の初め、あるテレビ番組で取り上げられたことをきっかけに一気に注目された栄養成分であるアルファリポ酸(チオクト酸)。これは、ビタミンB群と協働でミトコンドリア内のエネルギー代謝において重要な役割を担っている補酵素的作用をもつビタミン様の物質です。
 これまでアルファリポ酸は、その抗酸化作用やエネルギー代謝における働きが期待されて、インスリン抵抗性や糖尿病のなどの治療に医薬品として利用されてきました(Konrad、2005年)。そこに、近年厚生労働省により食薬区分が見直され食品としても用いることができるようになったため、代謝改善・促進や抗酸化の効果が期待されて、一般にも栄養補助食品成分としていっそう注目されるようになりました。
 動物を用いたこれまでの研究では、アルファリポ酸が視床下部の摂食中枢に作用して摂食量を抑え、脂肪の酸化を促進し、結果として体重減少をもたらす抗肥満効果のあることが報告されています(Leeら、2005年、Kimら、2004年)。また、加齢とともに減少するエネルギー代謝が関連酵素の働きの低下であることから、それらの酵素を補助する役割を持つアルファリポ酸の摂取効果について研究され、その有効性について示唆されています(Savithaら、2005年)。
 しかしながら、アルファリポ酸のエネルギー代謝への効果を検討した研究は動物を用いたものがほとんどです(Baileyら、2004年、Wollinら、2004年)。また、食事摂取基準(厚生労働省)にアルファリポ酸の必要量が設けられていないことからもわかるように、アルファリポ酸は人間では腸内細菌により天然に合成されるため欠乏することはまず起こらないようです。
 これまでのダイエットや抗肥満関連の食品に含まれる有効成分を見ていると、テレビ番組や話題性によって推移する流行の影響は否定できないようです。アルファリポ酸と同様に流行中(?!)の栄養素にコエンザイムQ10(ユビキノン)がありますが、これも同様にミトコンドリア内のエネルギー代謝において重要な役割を担っていることが注目されてはいるものの、人間の細胞内には高濃度に存在し欠乏することは知られていません。栄養補助食品のあり方について、その作用や効能もさることながら、流行についても吟味する必要がありそうですね。
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運動中の水分摂取の重要性は理解していますが、飲みすぎもよくないと聞きます。どうしてでしょうか?

 今年も蒸し暑い季節になりました。運動の際の発汗量もかなり多くなってきました。水分をしっかり補給していますか?汗をかくことは私たちのからだの有する優れた冷却機能です。そして、水分を摂取することでその機能が正常に保たれているのです。食事から摂るエネルギーの約60%以上は熱に変わってしまうのですから(残りが活動エネルギーに使われます)、いかに熱を対外に逃がしてやるかが重要かわかります。車のエンジンなら熱くて触れませんが、人間のエンジン、筋肉なら熱くて触れないことなどないはず?!ちょっと語弊がありますが、人間のエンジンが発汗機能によっていかに効率よく動くようにできているか想像できそうです。
 運動中の水分補給の重要性はある程度は認識されているものの、実はそこに落とし穴があることは案外知られていないようです。ボストン小児病院の研究グループ(Almondら、2005年)が、2002年のボストンマラソン参加者のレース後の血液を調べた結果、対象者の13%強が低ナトリウム血症と診断されました。しかも、これが原因で1名亡くなっています。
低ナトリウム血症とは、血中の塩分濃度が異常に低値を示したもので、めまい、けいれん、頭痛、方向感覚喪失、昏迷などの神経障害を引き起こし、重篤な場合では死に至ることもまれではありません。暑熱環境下での運動時に問題とされる熱中症などと並んで、気をつけなければならない重大な問題です。
 この研究では、低ナトリウム血症の因果関係を調査しています。その結果、水分の過剰摂取が大きな原因であると指摘しています。低ナトリウム血症をきたした参加者ではレース後のほうが体重は多かったほどで、これも水分摂取量が発汗量を上回ったからだと考えられます。また、もともと体重の少ない人ほど低ナトリウム血症になりやすいことも示されています。これは、体重が少ないにもかかわらず、体重の多い人と同等に水分を摂取していたからだと考えられます。レース中の給水所では個人差に関係なく同じドリンクが用意されることと関係なくはないかもしれません。
 このように、汗をかいたら水分補給が常識になり、のどが渇く前に補給することが脱水予防には第一とまで言われている昨今ですが、かといって過敏になり過剰に摂取しすぎると重大な落とし穴に陥ってしまうこともあるかもしれません。また、水分補給量も個人差があり、自動販売機で自由に買えるペットボトルの飲料も人によっては多すぎるといったことも十分考えられるため注意が必要です。単なる水ではなくナトリウムやカリウムなどの電解質の適度に入ったものを、運動時間や体重に合わせて適量摂取するように心がけたいものです。
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厚生労働省による『日本人の栄養所要量-食事摂取基準-』の名称が今年度より『日本人の食事摂取基準』に変わりましたが、何がどう変わったのでしょうか?また、この改訂はフィットネス指導者にとって、どんな意味が考えられますか?

 基礎や臨床研究のますますの発展により、栄養素の機能性がさらに明らかになるとともに、国民の健康維持・増進のために必要な摂取量がより詳細に示されるようになりました。そして、生活環境や社会環境の変化、国民の健康状態を考慮した上で、5年ごとに厚生労働省より各栄養素の摂取量の基準が定められています。
 今回、平成16年度までの「第六次改定日本人の栄養所要量」が改定され、その名称も「日本人の食事摂取基準(2005年版)」と改められて平成17年度から次の5年間使用するための各栄養素の摂取基準がとりまとめられました。
食事摂取基準は、「健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の1日の摂取量の基準を示すものである」とされています。つまり、食事摂取基準の範囲内であれば、特に生活習慣病のリスクが低いことを科学的根拠に基づき示していると言えます。また、前回の改訂と同様に過剰摂取の健康障害についても考慮したものとなっています。サプリメントなどの栄養補助食品が氾濫する中で、これらの使用を見直すためにも活用したい指標となります。
 これまでは、平均必要量(50%の人が必要量を満たすと推定される1日の摂取量)、栄養所要量(97〜98%の人が1日の必要量を満たすのに十分な摂取量)、許容上限摂取量(健康上悪影響を及ぼす危険のない栄養素摂取量の最大限の量)を総称して「食事摂取基準」としていました。今回の改訂では、平均必要量が推定平均必要量に、栄養所要量が推奨量に、許容上限摂取量が上限量の名称に変更され、新たに目安量(推定平均必要量・推奨量の算出に科学的根拠が得られない場合、良好に栄養状態を維持するのに十分な量)、目標量(生活習慣病の一次予防のための目標とする摂取量)が追加されました。
 このように、複数の基準があると使いにくいかもしれませんが、一人一人の健康状態が異なるように、これらを使い分けることによって、年齢や性別、生活習慣病リスクの有無などの個人差を考慮した栄養指導が可能になります。20歳代女性の栄養摂取では、推定平均必要量を下回るものにカルシウムをはじめ、鉄、ビタミンB1、ビタミンCなどが挙げられますが(平成14年度国民栄養調査より検討)、推奨量を基準にすると、ビタミンB2なども不足していることがわかります。たとえば、ある20歳代女性の食生活が不規則だとしたら、万が一のことを考え、推定平均必要量よりも栄養不足の可能性の少ない推奨量を基準にした栄養指導を行う必要があるかもしれません。また、サプリメントの利用者へは過剰摂取の影響を伝えるともに、サプリメント摂取量の見直しを指導することができるようになります。
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多くの人がいろいろなサプリメントを摂っているようですが、私は基本的に食事さえしっかりバランスが取れていればサプリメントは必要ないと考えています。しかし、(私が指導している)メンバーさんからサプリメントの飲み方について質問されることがあり、いったいどれだけの量を摂るようにすすめればよいのか答えに困ることもしばしばです。実際のところ、サプリメントはどれだけ摂ればよいのか何か基準みたいなものはあるのでしょうか?
 
 「一般に売られているビタミンEサプリメントを毎日摂取すると、摂取しない場合と比べて10%も死亡率が高まる」(2004年11月10日ネイチャー電子版)こんな衝撃的な報告が、つい先日、米心臓学会で発表されました。そこでは、さらなる研究結果が明らかになるまで、ビタミンの大量摂取を控えるようにとも呼びかけています。
 ビタミンEは、老化や筋の炎症の原因とされる活性酸素を除去し、免疫機能や血液循環を高めるとされているビタミンです。巨大に成長したビタミンサプリメント市場は、ビタミンが健康維持には欠かせないといった前提に支えられているものの、大量摂取がさらに健康にプラスであるとの認識には誤りのあることが今回の報告からもわかります。むしろ、元々この認識は科学的根拠に基づくものではなく、企業の広告宣伝により作り出されたものです。また、ビタミン摂取によって健康上のメリットが得られる確率は、その商品が売れる確率よりはるかに低いものであることも知っておくべきでしょう。
 このように、ポピュラーなビタミンの一つであるビタミンEでさえ、健康問題が今初めて伝えられるほど、その有効性と安全性については発展途上にあります。現在、健康食品市場にあふれる多様な「流行サプリメント」のうち、一体どれだけの製品が有効性を確実なものとし、また安全性を揺らぎないものとして証明することができるのでしょうか。
 「『にがり』取りすぎ健康被害の恐れ」(日本経済新聞2004年7月15日)、「脂肪つきにくい健康食品2種類食べても効果『?』」(日本経済新聞2004年7月21日)、「『脂肪包んで排せつ』ダイエット商品9種、効果は『?』」(日本経済新聞2004年9月14日)といったように、健康食品に関して多くの疑問符が付けられ始めています。また、若年者によるこれらのアミノ酸摂取による健康への影響が問題視され(Racette、2003年)、流行のコエンザイムQ10にしてもビタミンE同様、脂溶性であるため大量摂取の影響が懸念されています。また、テレビなどで取り上げられているクエン酸についても、その大量摂取により引き起こされる健康問題が心配されています(DeMarsら、2001年)。
 食事によるビタミンやミネラルの摂取の基準としては「日本人の栄養所要量」(厚生労働省http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s9906/s0628-1_11.html)が目安になりますが、サプリメントの摂取に関しては、あくまで自己判断に委ねられています。サプリメントの大量摂取も問題ですが、これからの季節、美味しいものやお酒の大量摂取(?)にも注意しましょうね!
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疲労回復を促進するには、軽い筋運動を行ったほうがよいことはわかりました。では、疲労回復のための栄養補給として、運動後はどのようなことに気をつければよいでしょうか?

 運動を終えてもからだの中では、まだまだ疲労回復のための作業が続いています。したがって、運動後に必要なケアはやはり栄養補給と休養です。これを怠ると、疲労回復のためのプロセスは完全とは言えません。
 運動後は、適切な栄養を適切な量、適切なタイミングで摂取することにより、よりすばやく疲労から回復することができます。トレーニング直後から数時間は、私たちの体はちょうどスポンジのように栄養の吸収率が高まっていて、疲労回復のための「窓」が開かれています。筋疲労は運動により筋グリコーゲンが減少することにより引き起こされますので、運動後は速やかに炭水化物や糖質を摂取することが大切です。運動直後と2時間後に糖質を摂取した場合を比較すると、運動直後のほうで3倍も多く筋グリコーゲンの再充填が促進されたと報告されています(Ivyら、1988年)。
 最近では、疲労回復のためにクエン酸を摂取することが流行しているようです。しかし、クエン酸は糖質の代謝を阻害し、クエン酸回路(エネルギー製造工場のタービン)のスピードを弱めてしまいますので、運動前や運動中は糖質代謝が低下してエネルギー供給が不足することがあります。一方、クエン酸は糖質の代謝を阻害することによって、筋や肝臓のグリコーゲン合成を促進しますので、「運動後」の疲労回復には有効なようです。
 ところで、最近、私たちの研究では、北海道東部でとれる天然ハーブであるウコギ科の植物「エゾウコギ(北海道ウコギ)」に疲労やストレスにより低下した免疫機能を高める働きがあることを突き止めました。また、エゾウコギには、糖質が乳酸に変換されるのを防ぐ働きがあることも遺伝子解析の結果わかりました。そして、クエン酸回路を活性化してエネルギー(ATP)の大量生産を促し、疲労回復を促進することが判明しています。
 運動後にバランスのよい食事をとることは基本中の基本ですが、こういったサプリメントをうまく活用することも、より迅速な疲労回復には有効なようです。
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私は、筋力アップや疲労回復を促進する目的で、運動後にアミノ酸やプロテインを摂取しています。前回の話ですと、運動中のアミノ酸摂取の効果はまだはっきりしたことがわからないとのことでしたが、運動後のアミノ酸やプロテイン摂取はどうなのでしょうか?効果的な摂取方法を教えてください。

 ご質問も多い話題のアミノ酸のお話。これほどのブームを呼んでいるのですから、きっと何かよいことがあるに違いありません。前回は、「運動中」のアミノ酸摂取の効果について触れましたが、今回は、「運動後」のアミノ酸やプロテイン摂取について述べたいと思います。
 最近の総説を見ると、レジスタンストレーニング後のアミノ酸やプロテインの摂取は、トレーニングのみで何も摂取しない場合と比較して、筋量と筋力両方の増加により効果的であると述べられています(Lemonら、2002年)。事実、20人の大学生が参加した研究では、レジスタンストレーニング(エキセントリック運動)後のアミノ酸摂取(5,600mg)により、筋力の回復が早まったと報告されています(Sugitaら、2003年)。また、有酸素運動後の摂取も有効なようです。1ヶ月間、毎日アミノ酸(6,600mg)を摂取した中長距離ランナーでは、赤血球やヘモグロビンの数が増え、筋肉の炎症などのマーカーである血中クレアチンキナーゼ値が減ったと示されています(Ohtaniら、2001年)。
 最新の研究では、高負荷のレジスタンストレーニング後の分岐鎖アミノ酸(BCAA)の摂取は、筋細胞内のたんぱく質合成に関与する酵素を活性化すると報告されています(Karlssonら、2004年)。また、トレーニング期間中、プロテインを運動直後に摂取した者では、炎症やウィルス感染が3割、筋肉痛や関節障害が4割近く減ったと示されています(Flakollら、2004年)。
 一方、長時間のハードな運動後は血中のグルタミン濃度の低下に伴い免疫機能が低下します。しかし、実際に運動後のグルタミン摂取が免疫機能にどのように作用するかは、まだ結論を得ていないところのようです(Castell、2003年)。また、運動後のアミノ酸やプロテイン摂取には、ある程度の有効性が実験室では示されていますが、この効果を実際に得るためには、他のさまざまな要因(摂取のタイミング、摂取量、アミノ酸組成、他の栄養素の摂取状況、運動強度等)によっても影響を受けることを理解しておく必要があるようです(TiptonとWolfe、2004年)。やはり、あくまでご自身の経験と判断で上手に摂取する方法を選ぶことが必要かと言えるかもしれません。
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最近ではアミノ酸飲料がたくさん売られていますが、一般に「ダイエット飲料」として飲んでいる人もいれば、「からだによい健康飲料」として飲んでいる人もいるようです。指導者にしても、正しく理解して飲んでいる人はそれほど多くはないように思います。フィットネス指導者として必要なアミノ酸の基礎知識をわかりやすく説明してください。

 日本経済新聞が昨年末に発表した「2003年ヒット商品番付」を見ると、「アミノ酸」関連商品の人気が第7位にランクされていました。最近では、飲料・食品のみならず、Tシャツ・肌着から化粧品までアミノ酸ブーム。果たしてその実力や如何に?!という今回のお話です。
 金沢大学の研究グループは、アミノ酸飲料の摂取が運動中の生理反応にどのような影響を及ぼすかを検討しました(Demuraら、2003年)。被験者は運動開始30分前にアミノ酸飲料を摂取し、60分間の自転車こぎ運動を行いました。その結果、プラシボ(擬似)飲料を摂取した者と比べて、運動中の酸素摂取量、心拍数、血中乳酸濃度に有意な違いを認めることはできませんでした。しかし、対象群と比べて、主観的運動強度(RPE:運動に対する「辛さ」の指標)は有意に低く、また、呼吸交換比(RER:糖質利用度の指標)も低かったと報告しています。これらのことから、運動中のアミノ酸摂取は、運動を比較的楽に行うことや、糖質よりも脂質をエネルギー源として利用することを何らかの仕組みによりサポートしていると考えられています。
 しかしながら、運動時のエネルギー代謝に関して著名なテキサス大学のエドワード・コイル博士によると(2004年)、運動時では、その強度や時間、環境(温度、湿度等)に合わせて、糖分や水分、塩分こそ適切に摂取すべきであって、それら以外の物質、たとえばアミノ酸を摂取したとしてもほとんど有効ではないとしています。アミノ酸は、私たちのからだを構成する主要成分です。したがって、直接的にあるいは間接的に食物から摂取しなければなりません。しかし、摂取しすぎると利用されず分解されてしまいます。この過剰分のアミノ酸は肝臓へ運ばれ、アンモニアを生成し尿素へ変換されます。また、腎臓でもアンモニアを生成し尿中に排泄されます。このとき、肝臓では多くの熱を発生し、腎臓では生体にとって「毒」であるアンモニアの排泄が促進され、これらの臓器に大きな負担をかけることにもなりかねません。
 このように、運動時のアミノ酸の効用に関しては今後のさらなる研究成果を待たねばなりませんが、現段階では、あくまでご自身の判断のもとで摂取することがふさわしいと言えるかもしれません。
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日によってレッスン数や指導場所の異なる指導者にとって、規則正しい食生活の実践は容易なことではありません。あいた時間にファーストフードで済ませてしまうこともよくありますが、レッスン中は胃もたれするので、結局は食事を抜いてしまうこともあります。とはいえ、空腹で指導すると後半に必ずバテてしまうので、レッスン前には何かエネルギーになるものを口にしたほうがよいと思っています。レッスンの前に手軽に摂れて、すぐにエネルギーとなり、しかもおいしい食品はあるでしょうか?

 日々飛び回って活躍するアクティブなフィットネス指導者にとってこそ、しっかり食べることはとても重要。レッスン前の食事を選ぶ場合、まずはレッスンと食事のタイミングを考えることが必要です。
レッスンまで2-3時間以上の十分な時間があるときは、通常のバランスの取れた食事でかまいません。しかし、レッスンまで1-2時間となると、消化吸収の効率を考えてより慎重に食事を選ぶべきでしょう。また、レッスンで消費する主要なエネルギー源となる糖質を十分補っておく必要があります。食欲にもよりますが、200-300キロカロリー程度の食品、たとえば、コンビニのおにぎりやバランス栄養食品、シリアルなどの消化のよいものを選びます。油分の多い菓子類などの食品は避けたほうが無難です。
 さらに、レッスンまで1時間以下になると、レッスン中のエネルギー供給を最優先し、固形ではなくドリンクなどの液状の食品を選びます。糖質を主体としたもので、甘すぎないもの、正確には5-8%ぐらいの糖質濃度(つまり糖質5-8g/100ml)のドリンクをレッスンまでの間、あるいはレッスン時間に応じてレッスン中もこまめに摂るように心がけます。気温や湿度にもよりますが、水分摂取も兼ねて1時間あたり500-1,000ml程度摂取すればよいでしょう。運動中の水分摂取は、単なる水よりも、このような糖質ドリンクのほうが糖と水分の両方を効率よく摂取することができます。また、糖質が供給され続ける限り運動レベルを維持することができます(CogganとCoyle、1989年)。
運動前や運動中の食品としてゼリー飲料を好む人もいますが、ゲル化剤などの安定剤、寒天などの食物繊維が多く含まれているため、実は運動前中の食品としては不適切かもしれません。エネルギー供給を重視するのであれば、糖質ドリンクで十分です。ドリンクであれば、ゼリー飲料と違って水分摂取も行うことができます。レッスン前はエネルギー補給、レッスン後は失われた栄養素と疲労回復のための栄養補充を考えた楽しい食事をお忘れなく。
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カフェインはビタミンCを破壊(?)すると人から聞いたことがありますが、清涼飲料水の中にはどちらも含まれたものがあります。カフェインとビタミンCとの関係は、どのように理解したらよいのでしょうか?

 人から聞いた話をただ鵜呑みにするのではなく、疑問があったら自らで確かめてみる姿勢こそフィットネス指導者にとって望まれる資質ではないでしょうか。しかし、結論的に言うと、カフェインがビタミンCを破壊することはないようです。
 ビタミンCには周知のように多くの機能があり、体内合成できない人間にとって必要不可欠な栄養素の一つです。一方、カフェインもその生体における様々な作用が知られています。例えば、古典的な運動生理学の研究(Ivyら, 1979)では、運動前のカフェイン摂取が運動時間を20%延長させたと報告されています。これは脂質代謝が高まったことによると考えられていますが、カフェインが交感神経を興奮させカテコラミンなどの脂質分解を高めるホルモンの分泌を促進したことに起因するようです。
 では、カフェインとビタミンCの関係はどうなっているのでしょうか。カフェインはメチルキサンチンと呼ばれる化合物の一つで、上述のように交感神経を興奮させカテコラミン分泌を促進します。実は、このときカテコラミン合成(ドーパミンからノルアドレナリンを合成)の補酵素であるビタミンCが消費されます。ストレスが多いとビタミンCを多く消費すると言われますが、これはストレス反応によりカテコラミン分泌が促進されるからです。したがって、カフェインを摂取することにより脂質代謝向上などのエルゴジェニック(生体機能促進)効果が期待される一方で、ビタミンCの消費は高まります。つまり、カフェインはビタミンCの消費を促進すると考えられます。
 このように、カフェインを摂取したら不足がないようにビタミンCを十分摂取することが必要です。カフェインには利尿作用もあり、水溶性であるビタミンが尿中に排泄されやすいということもありますので摂取量には気をつけたいものです。清涼飲料水などにカフェインもビタミンCも両方含まれていることは実は理に適っているのではないでしょうか。
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サプリメントの摂取が当たり前になってきている昨今、(私が指導している)メンバーさんからの栄養補給に関する質問も多くなってきています。特に、どのサプリメントをどれぐらい摂取したらよいか困っている方が多いようなのですが、どのようにアドバイスすればよいでしょうか?

 『「健康よりダイエット」の罠』(日本経済新聞2002年8月8日)。昨年多くの健康被害を出した中国製ダイエット食品は社会問題にまで発展し、今年になってもアメリカ製のダイエットサプリメントが死者まで出している現状に警告が発せられています。一方で、『健康志向幅広い支持』(同2003年3月29日)を受け、今や大のアミノ酸ブーム。健康被害を出すと出さないでは大きな違いこそありますが、それらを利用する消費者の心理は「楽して効果を得たい」といったところにあるようです。そこをうまくついてブームを作り出す食品・サプリメント業界には安全と信頼の面で消費者に安心を与える製品作りを心がけてもらいたいものです。
 さて、ご質問のようにサプリメントを利用する人にはどれが自分に適していてそれをどれぐらい摂ったらよいかの判断にお困りになっている方も多いようです。しかたなくメーカーの訴求する効果(実際には健康食品では効能を謳えない)を頼って購入する場合が多いのでは?しかし、そこで気をつけてほしいことが二つあります。一つは、広告宣伝にほのめかされる製品の効能に明確なエヴィデンス(根拠)があるかどうかということ。二つ目は、たとえ健康上のメリットがあるとしても、たくさん摂取すればするほどよいとは限らないこと。
 フィットネス指導者としてアドバイスするのであれば、まずは有効とされる成分のエヴィデンスについての情報を得ておくことが重要です。ビタミン・ミネラルなどの栄養素の効果に関するエヴィデンスは確立されており、それらの情報も比較的入手しやすいので予備知識として蓄えておきましょう。これは、間違った運動指導が健康を損ねることもあるように、間違った栄養指導が健康被害を引き起こすこともありうると考えると深刻なことです。みなさんがエヴィデンスに基づいて知り得た運動の効果に関する知識を実践に活かすように、健康にとって不可欠なもう一つの要素である栄養に関する知識も同様に、エヴィデンスに基づいた安全で効果的な指導へと活かせるようにしたいものです。
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疲労回復を促進し運動効果を上げるためには、トレーニング後の栄養補給のタイミングが重要だと聞いたことがあります。運動後はどういったタイミングで栄養補給を行えばよいのでしょうか?

 ハードに運動を行ってさえいれば、あとはお構いなしでも体力がつくと考える人も今では少数派。でも、運動後の栄養補給の重要性の認識が高まってはいるものの、そのタイミングまで考えている人はまだまだ少ないのでは?!最近の研究により、いくらしっかり運動しても、その後の栄養摂取のタイミングを逃すとその効果は半減することがわかってきました。
 Esmarckら(2001)の研究では、平均年齢74歳の男性に筋力トレーニングを週3回、12週間行わせた結果、トレーニング直後にたんぱく質を摂取した群(P0)と2時間後に摂取した群(P2)で比較すると、前者では筋断面積の増大が見られたものの後者ではトレーニング前とほとんど変わりありませんでした。また、筋力(5RM)は両群で増加したものの、P0群ではP2群よりも10%も多く増加したと報告されています。運動直後では筋によるたんぱく質やアミノ酸の取り込みが高まるようです。それにしても、70歳以上の高齢者でも運動後の栄養補給のタイミングに気をつけていれば、十分に筋肥大や筋力増加を期待することができるなんて驚きですね。
 また、トレーニング後の疲労回復を促すためには、運動で消費された筋グリコーゲンをいかに素早く再貯蔵させるかが重要です。筋グリコーゲンの貯蔵量はスタミナや筋疲労に関与しており、これが枯渇することによってスタミナ切れや翌日の運動がいつもより辛かったりします。ここでも運動後のグリコーゲンの再貯蔵を促すために糖質補給のタイミングが重要になります。Ivyら(1988)の研究によると、運動直後と2時間後に糖質を摂取した群では、前者のほうで3倍も多く筋グリコーゲンの再貯蔵が促進されたと報告されています。
 このように、運動直後の素早い栄養補給は筋力・筋量アップ、スタミナアップ、疲労回復にとって重要であることがわかりますね。運動後の栄養補給をぜひ工夫したいものです。
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