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  ペダリングの科学〜インドアトレーニングで効率的なペダリングを身につけよう!

8. 「スピンスキャン」の実際

 図を見てほしい。図1(AB)はフォームの違いによる各クランク角度(画面左から左脚の上死点から下死点までのダウンストローク180度を15度刻み。続けて、右脚の上死点から下死点までの180度を15度刻みにしたもの)におけるトルク出力の変化を見たものだ。

 図1Aは、比較的骨盤を立てて(股関節角度を小さく)ペダリングを行ったものだ。左右脚ともに上死点から下死点までの180度のどの角度においても比較的均一にトルクが発揮されているのがわかるだろう。また、最高トルクの出現角度も90度前後であることがわかる。これは、上死点付近から大腿四頭筋を初動として効率よくトルク発揮できていることを示している。

 一方、図1Bはお尻をサドル後方へ引き骨盤を寝かせてペダリングを行ったものだ。図1Aと比較して明らかな違いがあることがわかる。つまり、各クランク角度のトルクにムラがあることが示されている。また、最高トルクが現れる角度も120度前後とかなり遅いことがわかる。

 これまでの観察では同一のパワーを示しているにもかかわらず、図1Aのほうが図1Bよりスピードが高く、また同一のスピードでは、図1Aのほうが図1Bより少ないパワーですむことがわかっている。これらのことから、比較的均一にトルクを発揮できるフォーム(図1A)のほうが、ムラがあり部分的にトルクの高いフォーム(図1B)よりも疲労感が少なく効率的であると言えるだろう。

 また、図2を見てほしい。これは、ペダリングの違いによるトルク出力の変化を見たものだ。図2Aは、「コンピュトレーナー」のシミュレーションコースにおける上り坂でのダンシングのものだ。上死点付近ではトルクをかけることができていないことがわかるだろう。最高トルクのタイミングも120度前後だ。ただ、これは7%の上り坂であり、ダンシングしているから仕方ないところもあるが、図1のBのようにフラットなコースでもこのようなペダリングをしていれば、ダンシングし続けることと同じように、すぐに筋肉が疲れてしまうことが理解できる。

 一方で、図2Bは、引き脚(下死点から靴底で引っかくように)を使ったペダリングのものだ。左右の上死点あたりに反対の脚の下死点時の引き脚によるトルクが出現し(白い棒グラフ)、あたかも上死点でトルクをかけているように見える。しかし、上死点部を過ぎると、またトルクが低下しているのがわかる(30-60度付近の黄色の棒グラフ)。これは、片方の脚の下死点付近における引き脚のトルクが他方の脚の上死点付近に反映されたものだ。これでは最高トルクを発揮するタイミングがさらに遅れてしまい、結果的に非効率でパワーを十分に発揮できないペダリングになってしまう。

 このように「スピンスキャン」を使ってビジュアルにペダリングを観察してみると、ペダリングスキルの背景に存在する筋肉の働きを見事に反映して、明らかにフォームやペダリングの違いや効率の良し悪しをグラフや数値の変化で示すことがわかる。
 効率的なペダリングスキルを習得するにはある程度の時間を要する。また、意識的にペダリングを修正してみると、最初は違和感を覚えたり、ぎくしゃくしたりするかもしれない。しかし、このトレーニングを続けていれば確実にペダリングスキルを高めることができるのだ。

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