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磁気により肩や膝などの痛み・疲労を取り除くことを謳う商品を見かけますが、実際に効果があるものなのでしょうか?

水中運動を行っているのですが、プールにいる時間が長くなると、ときどき頭痛がします。プールに使われている塩素の濃度は健康に影響しないのでしょうか?

最近、熱めのお風呂に入ると脳内にベータ・エンドルフィンが分泌されると聞きましが、本当でしょうか?ベータ・エンドルフィンは、脳内モルヒネとかランナーズ・ハイの原因などと言われていますが、それはどういう感覚なのでしょうか? 周りにはスポーツマンがたくさんいますが、それを明確に実感したり表現できる人がいません。ベータ・エンドルフィンは、脳内のどこに何から分泌され、どのような作用をもたらすのでしょうか?

夏が終わりを迎え暑さも少しずつ遠のき、残ったものといえば疲労感。この疲労感を解消する何かよい方法はないでしょうか?

女性ならハイヒールを履く機会が多いと思いますが、ハイヒールを履くことによるデメリットは何でしょうか?

寒さが厳しく風邪が流行していますが、普段から運動していてもけっこう風邪を引いたりするものですね。風邪を引いたり、のどに痛みがあるような時はやはり運動を控えたほうがよいのでしょうか?

フィットネス・インストラクターの中にはタバコを吸う人もけっこういるようです。やはりストレスのたまる職業だからでしょうか。体力勝負の仕事ですので喫煙が影響することはあるかと思いますが、やはりよくないですよね?

忘年会で飲みすぎてしまいました。私は尿酸値が高いと言われているのですが、好きなお酒、特にビールがやめられません。運動していればよいと自分に言い聞かせていますが、本当のところどうなのでしょうか?忘年会の次は新年会が待っていて心配です。

運動中の疲労の原因として、乳酸が関係していることはよく言われていますが、肩こりなどの日常生活における疲労も乳酸に関係しているのでしょうか?

毎年夏になると肌を日焼けする機会が多くなります。周りのフィットネス・インストラクターの中でも、あえて日焼けをしている人を多く見かけます。日焼けって本当は肌にとってよくないのではと思いますが、日焼け直後の運動への影響ってあるのでしょうか?

毎年夏になると、暑さのせいか疲れやすく、また疲労からの回復も遅くなるようです。そのせいもあって、毎日のレッスンが辛く、余計に疲れてしまうようです。レッスン後の疲労回復を促すためにはどうすればよいのでしょうか?

エクササイズを行う人では、そうでない人より生涯の心拍数が多いため、寿命が短くなるといった話を聞いたことがあります。一定回数以上になると寿命がつきるということですが、これは本当なのでしょうか?運動は寿命を縮めてしまうのでしょうか?

花粉症の私にとって、この花粉の季節はとても辛く、毎日が憂うつでレッスンにも身が入らないこともしばしばあります。ところで、運動って花粉症にとってどのような効果や影響があるのでしょうか?

首や腰などを傷めて満身創痍で仕事をしています。オーバーワークであることは重々承知しているのですが、やむを得ずレッスンを続けています。鍼灸院に通っている同僚から「あなたも試してみたら」と薦められていますが、からだに鍼を刺すことに抵抗があります。鍼って本当に効くのでしょうか?

年をとると筋肉痛が遅れて現れるって本当でしょうか?最近、これまでは次の日に現れた筋肉痛が2、3日たってから現れるような気がするのですが・・・これは老化の証拠なのでしょうか?

(私が指導している)メンバーさんの中には、運動前後にタバコを吸われる方もおられます。喫煙が健康上よくないことはわかりますが、運動を実施する上ではどのような影響が考えられますか?やはり、健康のために運動を行う以上は、禁煙していただいたほうがよいのでしょうか?

夏になり暑くなってくると汗をかく量がとても多くなり、スタジオレッスン中のメンバーさんの脱水や熱中症が心配です。これらに効果的に対処するにはどのように指導したらよいでしょうか?

酒は百薬の長と言われ、適度な飲酒はからだによいと聞きますが、一方で運動の後にビールを飲むとからだに悪いとも聞きました。これには根拠があるのでしょうか?
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磁気により肩や膝などの痛み・疲労を取り除くことを謳う商品を見かけますが、実際に効果があるものなのでしょうか?

 けっこう古くから、磁気を使って肩こりなどの疲れや痛みを解消することを訴求効果として謳った貼付パッチなどがありましたが、かくいう私も使っていたことがあります。しかし、どうも効果のほどを実感できなかったというのが本音といったところでしょうか。最近では、指輪やネックレスなどにも磁石が使われていたりするようですね。実際の効果はいったいどれほどのものがあるのでしょうか。
 磁石などを使った磁気セラピーによる関節炎や関節痛の治療を試みた臨床研究は行われているようですが、効果が見られたとするもの、そうでないものがあり、いまだ確証は得られていないように感じます。膝関節の慢性痛をもつ患者43人に磁石が挿入されたパッドを2週間装着し、二重盲検法(研究者も患者も誰が対象製品あるいは擬似品を使用しているか研究終了時まで知らされない)によりその効果を調べた研究(Hinmanら、2002年)では、有意に痛みが軽減し膝関節の動きが改善されたと報告されています。また、同様に膝の関節炎への磁気サポーターの効果を調べた最近の研究(Wolskoら、2004年)でも、わずか4時間の装着で対照群と比較して痛みが有意に軽減されたと述べられています。
 一方で、磁気セラピーによる慢性腰痛への効果を調べた研究では、20人の患者に週に3日、1日に6時間、1週間にわたって磁石を腰部に装着したところ、対照群と比較して、痛み、可動域等に有意な差は見られませんでした(Collacottら、2000年)。また、足底筋膜炎への効果を見た研究でも、磁石入りの靴の中敷を8週間にわたって使用した101人の患者ではその有効性を確かめることができなかったようです(Winemillerら、2004年)。その他、運動後の筋肉痛への効果を調べた研究でも、5日間の磁石(350ガウス)の装着した23人の参加者の間では目立った効果は示されませんでした(Reeserら、2005年)。
 このように、磁石を使用した磁気セラピーの是非については、今後の臨床研究の成果を待たねばなりませんが、今回紹介した研究報告のほとんどが二重盲検法で実施しているにもかかわらず、擬似品を用いた対照群でも効果が見られた場合もあります。つまり、痛みの軽減には心理的な要素が大きく影響していると考えられ、主観的な指標で判断する限り、この影響を完全に取り除くことは難しいようです。磁気の真の効果は不明ですが、たとえそれが心理的なものであったとしても、実際に痛みが軽くなり、楽になったと感じれば、それはそれでよいのかもしれませんね。
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水中運動を行っているのですが、プールにいる時間が長くなると、ときどき頭痛がします。プールに使われている塩素の濃度は健康に影響しないのでしょうか?

 頻繁にスイミングプールでエクササイズを行ったり、日々エクササイズ指導を行ったりしているとなると、プール中に含まれる塩素の濃度やその健康への影響が気になるところです。
 スイミングプール中の塩素への長期間にわたる接触による影響について調べようとした研究報告があります(Aikingら、1994年)。長年プールで泳いでいる競泳者を横断的に見たものですが、毒素に反応する肝臓内の酵素活性については影響が見られなかったものの、腎臓への影響を示すベータ2-マイクログロブリンというペプチドの一種の尿中濃度が有意に上昇し、腎臓への影響が示唆されています。しかしながら、この研究ではさまざまな個人差のある競泳者を横並びにして見ただけで、非泳者と比較したわけでもないため、塩素への影響の因果関係については明らかではありません。
 逆に、塩素濃度が低すぎたことによる健康被害が報告されています(PapapetropouloとVantarakis、1998年)。多くの人が使用するプールでは、大腸菌やブドウ球菌などによる感染症へのリスクが高く、
適度な濃度の塩素による殺菌が必要不可欠となります。このため消毒剤として塩素剤の使用が認められおり、その濃度(遊離残留塩素濃度)は厚生労働省の基準により定められています。
 しかしながら、厚生労働省の基準では「0.4 mg/L であること。1.0 mg/L 以下であることが望ましい」とされているため、上限については義務付けられていないように見えます。私も20年近く水泳を行っていますが、実際、プールによっては塩素臭やプール内での塩素濃度にばらつきがあるように思えます。これは、この基準内のばらつきなのか、あるいはプール側の意図によりあえて基準を超える濃度が設定されているのかは定かではありません。ただ、この高い塩素濃度(基準値を超えているかどうかはわかりません)が目の痛みや頭痛を引き起こしている可能性があります。また、人体から出るプール内のアンモニアなどとの物質と塩素が結合し、結合残留塩素となった場合にこれらの症状が出やすいようです(http://www.tohzai.co.jp/pool-spa/pool-index.html)。この結合残留塩素の濃度は、海外の先進国では基準が定められているものの、現在の厚生労働省の水質基準では定められていません。
 また、プール内の有機物と塩素の結合によるトリハロメタン(クロロホルム)の発生も懸念されています。日本でも厚生労働省の目標値として定められていますが、ドイツの基準の10倍まで許容されているようです。トリハロメタンは発がん性や流産との関係が指摘されています。
 康やフィットネス向上のための水中運動によって、健康を害することがあっては本末転倒ですね。今後の動向には注意する必要がありそうです。
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最近、熱めのお風呂に入ると脳内にベータ・エンドルフィンが分泌されると聞きましが、本当でしょうか?ベータ・エンドルフィンは、脳内モルヒネとかランナーズ・ハイの原因などと言われていますが、それはどういう感覚なのでしょうか? 周りにはスポーツマンがたくさんいますが、それを明確に実感したり表現できる人がいません。ベータ・エンドルフィンは、脳内のどこに何から分泌され、どのような作用をもたらすのでしょうか?

 ベータ・エンドルフィンは、脳内の視床下部のさらに下に位置する下垂体という器官の中葉部から分泌されます。運動時に分泌されるACTHなどと同様に、ストレス性の刺激により分泌されます。中枢神経系に作用してモルヒネのような鎮痛作用をもたらすことから脳内麻薬物質と言われています。
 運動中、運動後には血中のベータ・エンドルフィンが多量に分泌されることが知られており、これが「ランナーズ・ハイ」の原因だとさえ言われた時期もあります(Wildmannら、1986年)。この科学的根拠はいまだはっきりしないところがあるものの、運動が不安やうつを軽減する効果もベータ・エンドルフィンの作用と考えられています(Guszkowska、2004年)。
 ところで、熱いお風呂に入ると、これがある種のストレスとなり、ベータ・エンドルフィンの分泌を促すようです(Kubotaら、1992年)。群馬県の草津温泉で日本の研究グループが行った研究では、47度の温泉(時間湯)に3分間つかった被験者の血中ベータ・エンドルフィンが入浴前の3倍に高まったことを報告しています。そして、温泉のもたらす陶酔感や依存性はこの快楽ホルモンの分泌によるものではないかと考えられています(Kubotaら、1992年、1994年)。また、出産時の妊婦さんが温浴を使った場合とそうでない場合の血中ベータ・エンドルフィン濃度を調べた研究がありますが、結果は両者に有意な違いはありませんでした(Gradertら、1987年)。
 さて、私事ながら、トライアスロンを長年行っていることもあって、ゴール後の恍惚感(つまり「ランナーズ・ハイ」)の原因について以前から関心がありました。そんな経緯からベータ・エンドルフィンが数年前には私の研究題材になったほどです(「ランナーズ・ハイ」の研究ではないですが)。レース後は、筋肉痛の痛みがあっても恍惚感や幸福感が数日間続き、しかし、しばらくすると逆に脱力感や空白感が起こることがよくあります。運動後の快楽感をもたらしたベータ・エンドルフィンの分泌量がやがて低下すると、これが脱力感や空白感を引き起こすと考えられています(Scullyら、1998年)。これは、禁断症状というものでしょうか。また、20年近くこのスポーツを行っていると、レースでのパフォーマンスやトレーニング量が高まらないとどこか満足いかなくなってしまっているようにさえ思えます。耐性(量が増えないと効かなくなる)が生じているのか、もはやこれは薬物中毒と同じようなものかもしれません。
 最後は個人的な体験談になりましたが、いかがでしょうか?
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夏が終わりを迎え暑さも少しずつ遠のき、残ったものといえば疲労感。この疲労感を解消する何かよい方法はないでしょうか?

 夏場の暑い中での運動や仕事は肉体的な疲労をもたらすだけでなく、精神的にも辛いものです。少しずつその暑さも和らぎ、徐々に過ごしやすくなってきたら、一度肉体と精神のリセットを行いたいものです。これからの季節にふさわしいリラックスした運動などを取り入れることもよい考えかと思います。
 リラクセーションに効果があるとされるヨガなどの静的な運動の人気が高まっているようですが、研究の分野でもその実際の効能評価が行われています。ランニング後の回復について、ヨガ、あるいは単にいすに座る、または仰向けに横になる安静状態とでは、どちらが効果的かを調べた研究が報告されています。心拍数や血圧の回復時間を比較したところ、ヨガのほうが有意に短い時間で安静レベルに回復したようです(Beraら、1998年)。運動後のクールダウンとしてヨガが有効であることが示されているわけですが、通常のストレッチングなどを取り入れた方法と比較した場合はどうであるかなど今後の研究を待つ必要はありそうです。
 一方で、精神的なリラクセーション効果も高いとされるヨガですが、運動後のクールダウンとして用いられることも多い水泳と、その心理効果について比較した研究報告があります(BergerとOwen、1992年)。この研究では、ヨガと水泳のクラスに参加した総数87人の学生を対象に、怒り、緊張感、憂うつ感などの気分について調査していますが、いずれの運動も何もしなかった場合に比べて有意に気分の改善を示しました。しかも、ヨガのほうが水泳よりもその効果が高かったことが示されています。気分改善への有酸素運動の効果は以前から言われていますが、この研究報告では必ずしも有酸素運動である必要はないことが示唆されています。ヨガのうつに対する効果について調べた研究では、週2時間、5週間のヨガの実施により、有意にうつ状態が緩和されたことが示されています(Wooleryら、2004年)。
 その他、ヨガの要素を取り入れたとされ最近非常に人気の高いピラティスについての研究もわずかですが行われているようです。リラクセーション効果のみならず、体幹トレーニングとしても注目されていますが、Segaiら(2004年)の研究報告によれば、ピラティスのクラス参加者(女性45人、男性2人)に対し6ヶ月間にわたり調査を実施したところ、柔軟性については有意な改善が見られたものの、体幹の筋量、健康状態などについてはあまり変化が見られなかったようです。今後の研究成果に期待したいところです。
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女性ならハイヒールを履く機会が多いと思いますが、ハイヒールを履くことによるデメリットは何でしょうか?

 春になり、季節の装いを身にまとい、さっそうと歩く女性の姿を多く見かけるようになりました。そして、しなやかに伸びた脚にハイヒールがよく似合います。ハイヒールは確かに脚が細く長く見えて格好がよいのですが、健康的な生活習慣を考える上で、言わば、かかとを持ち上げた状態で歩き続けることに多少の違和感を覚えずにおれません。
 さて、ハイヒールを履く女性の足の障害としては外反母趾が典型的な例です。ヒールの高さが高くなればなるほど、前足部にかかる負荷が大きくなることが知られています(MandatoとNester、1999年)。つまり、高いヒールを履く人では、より足先への負担が大きくなり、外反母趾やタコ、ウオノメなどの障害を起こす可能性が高くなります(Nyskaら、1996年)。
 また、ハイヒールを履いて歩くと、低いヒールの靴を履いて歩く場合と比較して、足首の底屈や膝の屈曲が大きくなります(足首が伸び、膝が前にせり出すようになる)(SnowとWilliams、1994年)。ハイヒールを履くと腰椎が前弯して姿勢が悪くなりそうなものですが、実際にはヒールの高さに対しては、腰や骨盤ではなく、足首と膝の角度を調節することによって上体の姿勢を保ちます。これもハイヒールという特殊な靴に対する一種の適応と呼ぶことができますが、やはり足首や膝への負担を考慮しなくてはなりません。ハイヒールを履いて歩くと、地面からの垂直方向の反動力が大きくなりますので、長時間ハイヒールを履いて歩いた場合ではこれらの関節への負担が心配されます。
 一方で、ヒールの高さが高くなると、同じスピードでの歩行中の心拍数や酸素消費量が高まることが知られています(Ebbelingら、1994年)。これは、足首の底屈や膝の屈曲によって歩行中にブレーキがより強くかかるようになることが原因です。したがって、ハイヒールを履くとより生理的負担が大きいと言えます。また、ハイヒールを履くことによって重心の位置が変わるため、姿勢のバランスをとるために足首を底屈させる必要があることから、ふくらはぎの筋をより多く使うようになります。常にふくらはぎの筋が緊張していますので疲れやすくなります。これが、脚のむくみなど一因になる場合もありますので、ハイヒールを長時間履いた後はストレッチングなどで軽く伸ばしてあげることが大切です。
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寒さが厳しく風邪が流行していますが、普段から運動していてもけっこう風邪を引いたりするものですね。風邪を引いたり、のどに痛みがあるような時はやはり運動を控えたほうがよいのでしょうか?

 風邪が流行していますね。かく言う私も先日風邪を引いてしまいました。マラソン大会に出たのですが、その翌日からのどに痛みが生じ、その後はお決まりのフルコースを堪能(?!)させられました。
 さて、運動を行っている人では、けっこう風邪などの感染症にかかりやすいようです。特に有酸素系の運動を行っている人では、上気道感染(Upper Respiratory Tract Infection:URTI)などの感染症にかかりやすくなると言われています(Jeurissen、2003年、Nieman、2001年)。長い目で見れば、習慣的な運動は免疫機能を高めるのですが、激しい運動などを行うと一時的に免疫機能を低下させることも知られています(Metz、2003年)。運動によるURTIなどの感染症にかかるリスクは、運動強度と「Jカーブ」の関係にあるようです。つまり、適度な強度の運動ではそのリスクは低いものの、高強度の激しい運動を行うと一気に感染リスクが高まるのです。どうりで急にマラソン大会になんか出たものですから風邪を引いてしまうわけですね。
 ところで、風邪を引いてのどに痛みがあったり、URTIに感染していたりした場合はやはり運動を控えたほうがよいのでしょうか。実は、次のような研究報告もあります。風邪やURTIに感染した被験者に、毎日30分、5日間にわたって軽い運動をさせたところ、運動をしなかったグループと比較して、風邪の症状やのどの痛み、罹病期間にほとんど差は見られなかったということです(WeidnerとSchurr、2003年)。とはいえ、風邪を引いているときに運動を行ってもそれが悪化することはないと考えるのは早計です。やはり風邪を引いているときぐらいはからだを休めたほうが無難でしょう。からだが辛いときに無理することは禁物です。また、フィットネス指導者が風邪を引いているとメンバーさんへうつしてしまうリスクも高く、責任問題になる可能性もあるかもしれません。
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フィットネス・インストラクターの中にはタバコを吸う人もけっこういるようです。やはりストレスのたまる職業だからでしょうか。体力勝負の仕事ですので喫煙が影響することはあるかと思いますが、やはりよくないですよね?

 「たばこを吸う男性医師の割合は21.5%、女性医師は5.4%」「女性看護職の喫煙率は24.5%と一般の約1.7倍」という記事が新聞に出ていました(日本経済新聞2004年12月8日)。「医者の不養生」とはよく言いますが、それを如実に表しているのではないでしょうか。では、エアロビクス・インストラクターの場合はどうか。正確な数字はわかりませんが、少なからずタバコを吸う人はいるようですね。
 医療の仕事も健康に関する仕事もけっこうストレスがたまるものですね。このため、喫煙によりストレス解消を行っているのでしょうか。タバコに含まれるニコチンには、脳内のストレス反応に働きかけて抗不安や抗うつ作用を呈することが知られています(Picciottoら、2002年)。また、ニコチンは脳内のドーパミン、エンドルフィン、セロトニンなどの神経伝達物質の分泌を促進し、快楽や満足感をもたらします(SullivanとCovey、2002年)。
 このように、一見、喫煙によるニコチン摂取にはプラスの面があり、ストレスの多い仕事などを終えた後の一服は至福の時となって、タバコを吸う人の精神面に働きかけます。しかしながら、この喫煙の薬理的な作用により、日々のストレスを紛らわせることを続けていると、やがてはニコチンへの依存症を引き起こします。そして、健康上のデメリットから禁煙を行った途端、それまで「煙」に紛れていた精神的な負担が一気に露呈する可能性も指摘されています(Picciottoら、2002年)。
 また、ニコチンへの依存症が有酸素性作業能力にどのような影響を及ぼすか調べた研究報告があります(Tchissambouら、2004年)。この研究によると、喫煙者のうちニコチンへの依存度の高い者では、依存度の低い者と比較して有意に最大酸素摂取量が有意に低いと報告されています。興味深いのは、喫煙による有酸素能力の低下は、その人のトレーニング内容よりも、ニコチンへの依存の程度のほうがより大きな影響を及ぼすようです。つまり、がんばってエクササイズを行っても、依存的に喫煙を継続する限り、それがフィットネスの「足かせ」になっているのです。「フィットネス指導者の不養生」、できれば言われたくないですよね?!
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忘年会で飲みすぎてしまいました。私は尿酸値が高いと言われているのですが、好きなお酒、特にビールがやめられません。運動していればよいと自分に言い聞かせていますが、本当のところどうなのでしょうか?忘年会の次は新年会が待っていて心配です。

 忘年会、新年会、クリスマス等々、とてもにぎやかで楽しい季節になりました。その反面、残業も多く、忙しくされている方も多いのではないでしょうか。忙しいながらも食べたり飲んだりする機会も多く、その一方でエクササイズする機会は減って、体重はだんだん右肩上りに・・・。そこで、宴会の前に大急ぎでエクササイズしてから、会場へ飛び込み駆けつけ一杯などとやっている方もおられるのでは?
 さて、兵庫医科大学の行った研究(Yamamotoら、2003年)で、とてもユニークなものがありましたのでご紹介します。この研究では、6人の健康な人(30-39歳の)に30分の運動(最大酸素摂取量の70%)を行ってもらい、同時に体重1kg当たり10ccのビールを飲んでもらった後での血中の尿酸値を測定しました。また、別の日に2週間間隔で同じ運動かビール摂取のどちらかのみを行ってもらい、同様に血中の尿酸値を測定しました。その結果、血中の尿酸値は安静時と比べて、運動後で12%増加、ビール摂取後で8%増加、運動とビールの組み合わせでは何と29%も増加したようです。このように、運動、ビールそれぞれの単独では思ったほど、尿酸値の増加はありませんが、組み合わせると一気に数値が飛び上るようです。これについて、研究者らは運動による乳酸の生成が尿酸の尿への排泄を妨げる可能性があると指摘しています。ビールを飲んでお手洗いへ行っても、運動後では尿酸の排泄が妨げられる?!こんなことが起こっているのかもしれません。
 「ビール腹」には運動が効果的であっても、ビールと運動の組み合わせは思わぬ落とし穴がありそうです。たくさん飲んで食べても運動を行っているから大丈夫とは必ずしも言えないようですね。私たちは、これまで生活習慣の悪影響を正すために運動を取り入れることを推奨してきました。飲酒の習慣が必ずしもよくないと言うつもりはありませんが、このような習慣をある程度考慮した上で運動を行っていただくよう指導したほうがよいと考えられます。さもないと、運動が生活習慣の健康上の影響をさらに助長することさえあるかもしれません。
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運動中の疲労の原因として、乳酸が関係していることはよく言われていますが、肩こりなどの日常生活における疲労も乳酸に関係しているのでしょうか?

 「乳酸」というと、運動を行う上での疲労の原因として目の敵にされており、「乳酸除去に効果的」などと謳うスポーツドリンクもあるようですが、最近、この認識には誤りのあることが指摘されています。
 これまで、運動中に筋肉が無酸素状態になると乳酸が産生され、その乳酸が筋肉を酸性にして疲労を起こすと考えられていました。しかし、実際に乳酸が産生されるのは酸素が不足しているからではなく、むしろ糖質の利用度が高まるからであり、その糖質代謝の過程で結果として乳酸が作り出されるようです。
 しかも、最近、アメリカの科学雑誌サイエンスに「乳酸−最新パフォーマンス増強剤」(AllenとWesterbald、2004年)という衝撃的な見出しで、蓄積された乳酸は疲労した筋肉の出力を回復させるのに役立つことが示唆されています。これは、乳酸の発生による酸性化が、実は筋肉の活性化(電気的興奮性)の維持と筋疲労の防止に役立つという研究報告(PedersenとNielsen、2004年)に基づいています。
 また、乳酸が産生されること自体も筋肉の酸性化とは直接的に関係ないとする研究報告もあります(Robergsら、2004年)。この研究報告では、運動中にエネルギーの元であるATP(アデノシン三リン酸)が過剰に分解されることが筋肉の酸性化に直接関係し、乳酸はむしろ酸性化を防いでいるとさえ述べられています。しかも、もし運動中に筋肉が乳酸を作り出せなければ、筋肉の酸性化や疲労はもっと早く進み、運動パフォーマンスはさらに影響を受けるとも述べられています。
 このように、「乳酸=酸性化」「酸性化=疲労」のクラシックな図式が崩れ始め、「乳酸=疲労」にもはや多くの疑問符が付けられるだけでなく、それどころか「乳酸=運動にとってプラス」といった考えさえも広がり始めています。運動時の乳酸発生についてもこのような認識の変化があるわけですから、肩こりなどの日常生活における疲労も、実際には乳酸とは直接関係ないと考えることが自然かもしれません。
 「ヘルスネットワーク」2004年6月号の特集で非常に興味深いコラムをご執筆された東京大学八田先生の研究室では、何と乳酸を摂取したときの運動中の糖代謝についてご研究されているようです。血糖値の維持には効果があったとのことですが、運動パフォーマンスへの影響はどうなのでしょうか。興味深いところですね。
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毎年夏になると肌を日焼けする機会が多くなります。周りのフィットネス・インストラクターの中でも、あえて日焼けをしている人を多く見かけます。日焼けって本当は肌にとってよくないのではと思いますが、日焼け直後の運動への影響ってあるのでしょうか?

 これまでに、日に焼けた肌は「健康の証」などと言われていたこともありましたが、今では、日焼けと皮膚障害・皮膚癌との因果関係が示されたこともあり、健康上の理由から、日焼けを防止する機運も高まっています。厚生労働省の人口動態統計(2004年)によれば、2003年の日本での皮膚癌による死亡は全がん死亡の0.35%、人口10万対の死亡率は0.9%となっています。また、同省がん研究班によると(2003年)、皮膚癌の罹患数は、1998年の推計で年間7000人弱となっています。これらの数字を多いと見るか少ないと見るかはご自身の判断にまかせますが、インフルエンザによる人口10万対の死亡率が0.9%、アルツハイマー病によるものが1.1%と考えると決して無視できる数字ではないようにも思えますが、いかがでしょうか?ちなみに、週に5日から7日の運動を習慣的に行う人では、そうでない人に比べて皮膚の悪性腫瘍(悪性黒色腫)のリスクが小さいとも言われています(Shorsら、2001年)が、いずれにしても日焼け対策は入念に行っておくに越したことはないでしょう。
 さて、運動への直接的な日焼けの影響について調べた研究報告があります。一般に、運動を行うとストレスホルモンであるコルチゾールが血中に分泌されますが、日焼け後は24時間にわたって、運動後のコルチゾールレベルが通常よりさらに高まることが示されています(Pandolfら、1992年)。コルチゾールの過度の分泌は免疫機能へも影響しますから、運動前の日焼けが運動によるストレス反応を高め、運動後では免疫機能を低下させる可能性が考えられます。
 また、日焼けは運動中の皮膚の発汗量を減少させることが報告されています(Pandolfら、1992年)。これは、暑い季節の屋外で運動を行う場合など、発汗による体温調節に障害をきたす恐れのあることを示唆していると言えます。ところで、余談ですが、カバの汗って赤い色をしているってご存知ですか?カバの皮膚からある色素が分泌されるようですが、実は、この色素には紫外線の影響を防止する作用があるそうです。残念ながら、人間の汗は日焼け(サンバーン)のリスクを高めるようですから(Moehrleら、2000年)、夏の屋外での運動には十分な日焼け対策が必要なようです。
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毎年夏になると、暑さのせいか疲れやすく、また疲労からの回復も遅くなるようです。そのせいもあって、毎日のレッスンが辛く、余計に疲れてしまうようです。レッスン後の疲労回復を促すためにはどうすればよいのでしょうか?

 さて、これからが夏本番といったところでしょうか。もう夏バテで疲れたぁ〜と言っている方はいませんか?でも、疲労がたまって抜け切れなくなるその前に、毎日の疲労への対処法について考えてみましょう。
 私たちのフィットネスは、運動と運動の間、つまり回復時に向上します。したがって、運動による疲労からじゅうぶんに回復することがフィットネスを高めるために大切です。特に運動直後から数時間内に積極的回復(アクティブ・リカバリー)を行っておくと、完全に休むより疲労回復が促進されます。
 実際、最大負荷での自転車運動を疲労困憊まで行わせた直後の疲労回復方法して、実際にどういったものがよいかを検討した研究が報告されています(Doradoら、2004年)。これによると、5分間の低負荷自転車運動(最大酸素摂取量の20%)、ストレッチング、あるいは単にベッドに横になる方法を比較すると、低負荷自転車運動を行った場合では、再度実施した最大負荷での自転車運動におけるパフォーマンスが3−8%高くなりました。つまり、疲労後にはアクティブ・リカバリーを行ったほうが回復は早いようです。
 同様に、最大自転車運動による疲労困憊後に4分間の低負荷(最大酸素摂取量の約30%)の自転車運動を行ったほうが、何も行わないより、パワー、運動時間、血中乳酸濃度の測定項目において有効であることが報告されています(Spiererら、2004年)。また、疲労した筋肉を使ったアクティブ・リカバリーでは、運動により蓄積した乳酸の処理を促進し、疲労の原因である組織の酸性化を改善します(Sairyoら、2003年)。私たちが以前行った実験では、自転車運動後のアクティブ・リカバリーによる乳酸除去のスピードを、同じ自転車運動と手漕ぎ運動で比較したことがあります。この場合、手漕ぎ運動より実際に使った筋(疲労筋)を用いる自転車運動のほうが乳酸除去は速いことがわかりました。
 このように、運動をしたらしっぱなしではなく、酷使した筋肉を軽く動かしてあげるような運動を行いましょう。そうすれば、何もしないより疲労回復が促進され、翌日に疲労が残ることも少なくなります。この場合、ストレッチングのような静的な運動よりも、自転車運動やジョギングのような軽い筋運動のほうがよいようです。質の高いトレーニングの重要性を理解している人は多いようですが、質の高い疲労回復の重要性を認識している人は案外少ないようですね。疲労をすばやく回復することが、実はフィットネスを高めることになるのです。
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エクササイズを行う人では、そうでない人より生涯の心拍数が多いため、寿命が短くなるといった話を聞いたことがあります。一定回数以上になると寿命がつきるということですが、これは本当なのでしょうか?運動は寿命を縮めてしまうのでしょうか?

 10年ほど前に、「運動はからだに悪い」といった内容の本がベストセラーになりました。でも、世界中の多くの疫学調査により、やはり規則正しい運動習慣は生活習慣病を予防し、健康維持に大きく貢献することは多くの学識者や指導者、生活者にも受け入れられていることは明白な事実です。その一方で、生物学者のLivingstoneとKuehn(1979)により、ウサギやネズミのように平均心拍数の高い哺乳類のほうが、ゾウや馬のように平均心拍数の低い哺乳類より短命であることが報告されました。わざわざ運動を行って心拍数を上げないほうが長生きには必要なことなのでしょうか?
 運動すると誰でも心拍数が安静時より高くなります。となると、運動しない人より一日の平均心拍数が高くなるのではと思われますが、実は、実際に調べてみると、習慣的に運動をする人では、安静時及び睡眠時の心拍数が運動しない人よりずっと低くなります。そのため、1日の平均で見ると、何と運動をする人の平均心拍数のほうがかえって低いことがわかりました。運動を行うので、その際の心拍数は安静時の2倍にも3倍にもなりますが、平均で見ると、習慣的に運動をする人のほうが心拍数は低く抑えられ、また長寿であることもわかっています。生物学者の理論はヒトにもあてはまるようですね。
 さらに、つい最近、こんなことが発表されました。イギリスの科学雑誌「Nature」(2004年6月2日付オンライン版)に発表されたのは、エネルギー代謝の速いネズミのほうがそうでないネズミより30%以上長生きしたとする研究報告です(Speakmanら、2004)。冒頭の「運動はからだに悪い」といったベストセラー本は、運動によってエネルギー代謝が高まることにより発生する活性酸素が寿命を縮めると説明していました。しかしながら、この最新の報告では、細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアにより、エネルギー代謝が高まるとかえって活性酸素の生成を抑えることができると説明しています。
 10年も経つといろいろと見識も違ってくるようですが、習慣的な運動が健康や長生きに有効なことは間違いないようですね。長年ご指導されているみなさまもきっとご経験の中で確信されているのではないでしょうか。
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花粉症の私にとって、この花粉の季節はとても辛く、毎日が憂うつでレッスンにも身が入らないこともしばしばあります。ところで、運動って花粉症にとってどのような効果や影響があるのでしょうか?

 最近では、花粉症の方を目にすることで「春の兆し(?!)」をうかがい知ることができるように、花粉症も今では初春の風物の一つとまでなっているようです。もっとも、当の花粉症の方にとっては辛く憂うつな季節でしょうから、このようなぞんざいなことを言っては叱られますね。すみません。
 さて、この季節の運動についてですが、花粉症の方にとっては、屋外の運動は症状を悪化させてしまいますので、やはり屋内の運動をまずは選ぶべきでしょう。その点、フィットネスクラブ等の施設内の運動では花粉の影響は比較的小さいと言えます。しかしながら、屋外で衣類や髪に付着した花粉が屋内へ運び込まれる場合も往々にしてありますので注意が必要です。また、水泳やアクアエクササイズは花粉症の人にとって適切な運動のように思われがちですが、プールの水に含まれる消毒薬の塩素などが目鼻の粘膜を刺激してしまうため、かえって症状を悪化させてしまう場合もあるようです。
 ところで、運動そのものの花粉症への影響はどうでしょうか。人間の体には、体内に侵入した外敵と闘おうとする働き(免疫機能)がありますが、本来ならば無害な花粉にまで過敏に反応して免疫機能が働いてしまうとアレルギー反応が起こります。これによりヒスタミンなどの物質が放出されると神経や血管が刺激され、くしゃみ、鼻みずや目のかゆみなどのアレルギー症状が起こります。実は、激しい運動は血中のヒスタミン濃度を高めてしまいます(Wetterら、2001年)。ですので、花粉症の症状を悪化させることになりかねません。また、長時間の激しい運動は免疫機能を低下させて、花粉やウイルスへの抵抗力を弱めてしまいます (Nieman、2000年)。
 このように、花粉症の方にとって、運動にはデメリットがありそうですが、その一方で、「習慣的な運動」は免疫力を高める (Nieman、2000年)ため、長い目で見れば、花粉やウイルスへの抵抗力を高め、花粉症にかかりにくくなったり、かかっても症状が軽くなったりすることが期待できます。また、自律神経の調整力も高め、過剰なアレルギー反応を抑制してくれる働きも期待できそうです。やはり、継続的な運動習慣を心がけることが第一なようですね。
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首や腰などを傷めて満身創痍で仕事をしています。オーバーワークであることは重々承知しているのですが、やむを得ずレッスンを続けています。鍼灸院に通っている同僚から「あなたも試してみたら」と薦められていますが、からだに鍼を刺すことに抵抗があります。鍼って本当に効くのでしょうか?

 満身創痍でお仕事に奮闘されている姿を想像しますと、本当に胸が打たれる思いです。どうか無理をせず、時には十分に休養をとり、からだのケアを心がけながら取り組まれることを願っています。
さて、鍼についてですが、技術的な話は専門家にお任せするとして、ここではその効果に関し、いくつか最近の臨床研究例をあげて説明してみたいと思います。
 最近の臨床研究によると、慢性腰痛をもつ患者約150名に4週間の鍼による治療を行った結果、治療直後及び治療後3ヶ月にわたって痛みが50%以上軽減されたと報告されています(Molsbergerら、2003年)。また、9年以上の慢性腰痛暦をもち、鍼治療の経験のない患者50名に8週間(週1回)の鍼治療を行った研究(Carlssonら、2001年)でも、治療直後から6ヶ月にわたり痛みが軽減されただけでなく、仕事への復帰、睡眠の質の向上などが見られたようです。
 これらの研究のユニークなところは、「模擬」の鍼を使った場合と比較しているところにあり、単なる心理的なリラクセーションや心地よさなどからくる一時的な痛みの軽減(プラシーボ効果)を考慮した上で、実際の鍼の効果を評価しています。これまでは、鍼灸に加えて、マッサージや塗布薬などに見られる効果は、主に、それらの「心理的刺激」が末梢神経を介して大脳の痛みをコントロールする中枢組織に伝わり、オピオイド(エンドルフィンやエンケファリンなどの内因性麻薬)の分泌などによって引き起こされる「無痛反応」と考えられていました。その点、上述の研究では、鍼そのものの「整形外科的効果」が確かめられているのです。
 最後に、ご質問の中には、オーバーワークながらも「やむを得ずレッスンを続けて」とあります。さて、これで本当にお客様に喜んでいただき満足していただけるレッスンをじゅうぶんに提供することができるのでしょうか。痛みをこらえるばかりに指導者に笑顔が消えてしまえば、お客様もきっとがっかりするはずです。ご自身のからだのケアをしっかり心がけてこそ、お客様のからだのこともケアしてあげることができるように思います。
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年をとると筋肉痛が遅れて現れるって本当でしょうか?最近、これまでは次の日に現れた筋肉痛が2、3日たってから現れるような気がするのですが・・・これは老化の証拠なのでしょうか?

 「若いときの筋肉痛は早く現れ、年をとると遅く現れる」とはよく言われますが、一般に、運動を行うことによって起こる通常の筋肉痛(この場合、筋傷害ではない筋肉痛)はその直後ではなく、だいたい1‐3日後に遅れて現れるものです。このことを「遅発性筋肉痛」(delayed onset muscle soreness: DOMS)と呼びますが、では、その発生に年齢差、あるいは老化による影響はあるのでしょうか?ご質問の内容のように経験的にはうなずけそうですが、実際には科学的な根拠に乏しいようです。
 DedrickとClarkson(1990)は、平均年齢23.6歳と67.4歳の女性グループにおけるストレンクストレーニング後の筋力と筋肉痛の程度を比べましたが、筋肉痛の現れ方には両グループ間に有意な差は見られなかったようです。ところが、トレーニング後に低下した筋力の回復スピードは若いグループのほうが有意に早かったと報告されています。
 実は、この遅発性筋肉痛の発生には年齢よりも個人差が大きく関係しており、運動経験や体力(筋力)、筋線維のタイプなどによって、筋肉痛の発生にも違いがあると考えられます。また、運動の種類やそこで使われる筋肉のタイプにも依存しているようです。たとえば、上腕二頭筋や三角筋などの比較的小さな筋では、大臀筋や内側広筋などの小さな筋に比べて筋肉痛が早く現れる傾向にあります(野坂, 1987)。
 このように、遅発性筋肉痛の現れ方には、年齢よりも個人差や運動の行い方が大きく関与しているようですので、若い人より筋肉痛が少々遅れて現れたからいってすぐさま老化と決めつける必要はなさそうです。しかしながら、多くの方が実感している「年をとると疲れが後からくる」といった話はどう説明すればよいのでしょうか?明確な回答は不明ですが、DedrickとClarksonの研究報告にもあるように、運動後の筋の回復スピードが老化により遅くなるようですので、この遅れが筋肉痛を長引かせ疲労が後から起こったような錯覚を生んでいるのかもしれません。また、遅発性筋肉痛の発生が、筋損傷そのものではなく後発する筋内の炎症過程に起因するとの説明からすると、筋の炎症を抑え疲労から回復させる力(スピード)が、結果的に筋肉痛の発生時期に影響しているとも考えることができるかもしれません。
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(私が指導している)メンバーさんの中には、運動前後にタバコを吸われる方もおられます。喫煙が健康上よくないことはわかりますが、運動を実施する上ではどのような影響が考えられますか?やはり、健康のために運動を行う以上は、禁煙していただいたほうがよいのでしょうか?

 フィットネス指導者であるみなさんは、決してタバコを吸ったりすることなどないと信じてやみませんが、喫煙の健康上の害については、これまでに多くの臨床研究や疫学調査によって示されている通りです。例えば、喫煙習慣のある人では、そうでない人と比べ約1.8倍虚血性心疾患で死亡する確率が高いと報告されています(Paffenbargerら, 1994)。これは、運動習慣のない人が同じ原因で死亡する確率より約1.3倍高いことがわかっています。
 さて、運動不足より怖い喫煙習慣ですが、この喫煙が運動に及ぼす影響についてはどうでしょうか。これまでの研究報告によると、運動直前の喫煙は、運動中の呼吸効率(RodeとShephard, 1971)、酸素摂取量(RotsteinとSagiv, 1986)、無酸素性作業閾値(Hirschら, 1985)などの低下や心拍数の高進(Rotsteinら, 1991)をもたらし運動持続時間を低減させるようです(Klausenら, 1983)。ただし、これらの急性な影響は、喫煙習慣があっても運動直前にさえ喫煙しなければ顕著には起こらないようなので、完全に禁煙できない人はせめて運動前の喫煙だけは控えたほうがよいかもしれません。
 一方で、習慣性の喫煙が運動効果へ及ぼす影響はどうでしょうか。運動の健康上のメリットは言わずもがなのことですが、運動習慣があり体力レベルが高くても喫煙習慣がある人では、たとえ運動習慣がなく体力レベルが低くても喫煙習慣のない人に比べて心臓疾患による死亡率が高い傾向にあります(Blairら, 1989)。喫煙者では、運動後に見られるはずのHDL(善玉)コレステロールの上昇が見られないとも報告されています。また、運動後の筋グリコーゲン量の回復速度が喫煙者では遅いようです (Priceら, 2003)。一方、3ヶ月間の禁煙はトレーニングによる運動時間延長効果や最大酸素摂取量の増大効果を促進させると報告されています(Albrechtら, 1998)。
 このように、どうやら喫煙習慣は運動効果を打ち消してしまうようです。せっかくの運動効果を喫煙によって台無しにしたくはないですね。
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夏になり暑くなってくると汗をかく量がとても多くなり、スタジオレッスン中のメンバーさんの脱水や熱中症が心配です。これらに効果的に対処するにはどのように指導したらよいでしょうか?

 暑い中での運動によって、頭痛やけいれんなどを起こす熱中症。炎天下でなりやすい症状と考えがちですが、実は梅雨時の室内でも意外に多いようです。暑さや高湿度に体がまだ不慣れな上、注意を怠りがちなためもあり、また、たっぷり汗をかいた仕事帰りなどでは運動開始前から脱水症状が始まっていることさえあることも原因です。
 運動中の熱中症には、発汗による脱水から起こる熱疲労、体を冷やそうと血管が拡張し血圧が下がって失神やめまいを起こす熱失神、発汗により血中の塩分が減少して筋肉のけいれんを起こす熱けいれんなどがあります。これらに対処するには頭痛などの自覚症状が起こる前に、正しい知識による予防が肝心です。さらに、のどに渇きを覚えた時点ではすでに脱水症状が始まっており、運動時は定期的にこまめな水分補給を行うことが必要です。
 水分の補給には、糖分やナトリウムなどの電解質が含まれているものが単なる水より有効です。糖分を3−5%含む飲料のほうが水より水分吸収が促進されます。運動中は発汗量に見合った水分を15−30分ごと、1時間当たりに500-1000ml程度補給することが望ましいようです。
 一方、のどが渇いたからと大量に水を飲む人を見かけますが、これは低ナトリウム血症を引き起こす原因です。低ナトリウム血症とは体内に過剰な水分が保留されることにより血中のナトリウム濃度が低下してしまう症状ですが、頭痛、方向感覚の喪失、意味不明の行動などを起こし、ひどい場合では虚脱や失神、昏睡などをもたらします。通常、過剰な水分は尿として排泄されますが、激しい運動時や体力の低い人では抗利尿ホルモンの働きがおかしくなって体内に過剰な水分が保留されてしまいます。また、抗炎症剤を服用している人も低ナトリウム血症になりやすいので注意が必要です。暑さ対策や水分補給の重要性がとかく指摘されるこの季節ですが、水分取り過ぎの害も認識すべきでしょう。
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酒は百薬の長と言われ、適度な飲酒はからだによいと聞きますが、一方で運動の後にビールを飲むとからだに悪いとも聞きました。これには根拠があるのでしょうか?

 これからの季節、「運動後の一杯」がこれまた格別!暑い季節だからこそ味わえる爽快感と言えますね。冷えたビールが楽しみで運動に汗を流す方も多いのでは?!でも、ちょっと待って下さい。いくら運動後のビールがたまらなくウマイ!と言っても、運動直後からむやみに飲酒するのは考えものですよ。
 運動後はまずはからだのケアから考えましょう。疲れた筋肉をクーリングダウンして癒し、失った水分や栄養素を十分に補給することが最優先です。
 一方、運動後の飲酒は、アルコールの利尿作用により脱水を引き起こしたり栄養素の排泄を促し疲労回復を遅らせることがあります。運動後はただでさえ水分やミネラル・ビタミンなどの栄養素が不足した状態ですので、十分な補給を行わずに飲酒することはかえって水分・栄養素不足を助長します。また、ハードな運動の後では胃腸への負担も無視できません。アルコール摂取が胃の粘膜を荒らす原因になります。さらに、アルコールを肝臓で処理する際に生じる副産物の影響により乳酸の除去が遅れ疲労蓄積の原因にもなります。このように「百薬の長」のお酒ですが、運動後の摂取が、疲労回復の遅れ、脱水、胃腸への負担などを引き起こすこともありますので気をつけたいですね。
 ところで、過度の飲酒は痛風の原因になります。これはアルコール処理のために生じる乳酸の過剰な生成により腎臓の尿酸排出能力が低下して高尿酸血症を引き起こすことが原因のようです。激しい運動は尿酸を作り出すだけでなく同様に過剰な乳酸も生成するため痛風の原因になると言われています。したがって、ハードな運動と飲酒の組み合わせは好ましくありません。ましてや尿酸に代謝されるプリン体を多く含むビールを運動後に飲むことはもはや自殺行為?!がんばって運動したからそのご褒美に冷たいビールとばかり言っていると思わぬ落とし穴があるかもしれません。運動もお酒も「ほどほど」が一番のようですね。
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