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エクササイズ
『もういい年だから・・・』とエクササイズを積極的に行うことをためらっている人を見かけます。年をとると、エクササイズを行っても若いときほど効果はないのでしょうか?

私はアクアエクササイズが好きなのですが、水泳をする人は骨密度が一般の人と同じか、それよりもさらに低いとさえ聞きます。やはり陸上での運動も採り入れたほうがいいのでしょうか?

これから寒くなっていくとだんだん運動することがおっくうになってしまいます。そうなると運動不足になって太ってしまいそうで心配です。やはり寒くても継続することが大切ですよね?!

夏バテのときに運動を行う場合の注意点はありますか?

一日でも運動をしない日があるとイライラして落ち着きません。からだは疲れているのに運動を行わないと気がすまないのです。これって運動中毒か何かでしょうか?

あまり触れられない話題ですが、エクササイズと恋愛、セックスには何か関係はあるのでしょうか?

エアロビック・ダンスを長年指導しており、そのおかげで自らも健康でいられると思っていますが、他の運動と比べて実際の効果のほどはいかがなものなのでしょうか。エアロビック・ダンスの効果に関する研究は行われているのでしょうか?漠然と『エアロビック・ダンスはからだにいい』と認識してはいるのですが・・・。

年末になり毎日忙しくて睡眠不足の状態が続いています。このような状態で運動を行ってもよいのでしょうか?また、忙しいから寝不足なだけではなく、忘年会が続いていることも理由です。

私が指導しているフィットネスクラブでは、メンバーさんによって、エアロビックダンスなどの有酸素性運動だけを行う方、ウェイトトレーニングだけを行う方、またはそれらの両方を組み合わせて行う方などさまざまな方がおられます。好みの問題かもしれませんが、運動効果の多様性から考えると、やはりいろいろなエクササイズを取り入れたほうがトータルな健康増進にはよいようにも思えますが、これには何か根拠はあるのでしょうか?

梅雨入りし、気温も湿度も高くなってきました。普段は全天候型のフィットネスクラブ内でエクササイズをしているのである程度は我慢できますが、いくら空調の効いている室内でも汗の出る量は半端でなく、また息苦しく感じることもあります。梅雨の季節のエクササイズって、あまりからだにとってよいことではないのでしょうか?

エアロビックダンスやジョギングなどは通常「有酸素的運動」と呼ばれていますが、一方で、全力走やウェイトトレーニングのような短時間に大きな筋力を発揮する運動は「無酸素的運動」と呼ばれています。人間のからだは、このように「有酸素的」、「無酸素的」とうまく割り切られて働いているのでしょうか?

むしゃくしゃする時や考えがまとまらない時など、あまり気が進まなくても思い切って運動を行うと、何故かその後には頭の中がすっきりとすることってありませんか?!あれほど頭を悩ませていたことでも運動を行うと、かえってよいアイディアが浮かんでくることがよくあります。これって、運動の効果と言ってよいのでしょうか?

寒い日の運動を効率よく行うにはどうしたらよいでしょうか?

久しぶりに筋トレを行ったら、次の日に筋肉痛に見舞われました。筋肉痛のあるときは、やはり運動は何も行わないほうがよいのでしょうか?

ウォーミングアップの重要性について理解していますが、運動後のクーリングダウンの重要性について教えてください。また、クーリングダウンを行っておけば筋肉痛が軽減できると聞きますが、本当でしょうか?

ストレッチングなどを運動前のウォーミングアップとして行うことは一般的になっていますが、中にはウォーミングアップを行わないで、いきなりトレーニングに入ってしまうメンバーさんも多く見受けられます。それらの方に説明するためにも、改めてウォーミングアップの目的を確認したいと思いますが、教えていただけますか?

(私が指導している)メンバーさんの中で、最近特にお仕事が忙しくどうしても思うようにクラブへ通うことができないため、これまでのせっかくのトレーニング効果が台無しになるのではないかととても心配されている方がいます。トレーニングを中止してもある程度の期間は効果が持続されると聞きましたが、もう少し詳しく教えてください。メンバーさんへのアドバイスにいかしたいと思います。
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『もういい年だから・・・』とエクササイズを積極的に行うことをためらっている人を見かけます。年をとると、エクササイズを行っても若いときほど効果はないのでしょうか?

 「もういい年だから・・・」と控えめになるだけならまだしも、それを何かの言い訳にしたり、自分に壁を作ってしまったりしている人はけっこう多いのではないでしょうか。昨年も90歳以上の高齢の方がマラソンやトライアスロンを完走したといったニュースを耳にしました。たとえば、20代の若い人が走ったことのないマラソンをいきなり完走できるかというと、ある程度トレーニングしていないと不可能でしょう。つまり、若いから体力があり高齢だから体力がないとは必ずしも言えませんね。また、マラソンを完走したことがある人でも、その人が90歳になったときも同じように完走できるかというとこれもわかりません。では、単にこれらの方々が特別なだけなのでしょうか。
 実際には、生命には「加齢」という避けることのできないイベントがあり、単に年齢を重ね老化していくだけでなく、いかに「年を取るか」といったことが関係しているように思えます。人は高齢になっても実際には想像以上のトレーニングの可能性(トレーナビリティ)を持っているものです。年齢にかかわらずトレーニングを続けている人のトレーナビリティは、運動を行っていない人と二倍以上の開きがあります(LarsonとBruce、1987年)。また、加齢によるフィットネスやトレーナビリティへの影響は、運動不足によりもたらされる影響より小さいと言われています(RavenとSmith、1984年)。トレーナビリティは、年齢よりもむしろ生活様式やトレーニングへの取り組み方のほうがよほど関連性は高いようです。
 ところで、一般に加齢により筋量や筋力が低下し、特に大きい力を素早く発揮する速筋線維の太さが減少すると言われています。最近、膝の伸展運動後の大腿四頭筋の毛細血管数、筋線維の遺伝子発現(遺伝子の活動が高まることにより筋たんぱくの合成が促進される)は、70歳代では20歳代と比較して低下していたものの、この差は速筋線維でのみ見られ遅筋線維では違いがなかったと報告されています(Croleyら、2005年)。また、速筋線維の遺伝子発現は加齢(21歳〜87歳)とともに10年ごとに10%以上低下する一方で、遅筋線維の遺伝子発現には違いがなかったと報告されています(Shortら、2005年)。さらに、16週間の有酸素トレーニングにより、速筋線維の遺伝子発現は年齢にかかわらず等しく増加しましたが、遅筋線維にいたっては驚くべきことに高齢になるほど遺伝子発現が高いことが観察されました。
 このように、年を取ってもトレーナビリティは十分にあり、実際の年齢や運動暦などを考慮して、その人にふさわしい運動さえ行うことができれば、決して加齢とともに衰えるどころか、さらに輝きを増す可能性さえあると言えるのではないでしょうか。スマートにエイジングすることが大切ですね。
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私はアクアエクササイズが好きなのですが、水泳をする人は骨密度が一般の人と同じか、それよりもさらに低いとさえ聞きます。やはり陸上での運動も採り入れたほうがいいのでしょうか?

 病気や怪我などで安静状態を強いられたり、水中でリハビリテーションを行う必要がある場合などに生じる非荷重の状態では、運動不足による場合と同様に、代謝や筋量が低下するとともに骨密度の低下も見られることが知られています(Greenleaf、1984年)。では、たとえ荷重が著しく低下する水中であっても、運動を行っている場合ではどうでしょうか?
 水球あるいは筋力トレーニングを行っているグループとまったく運動を行っていないグループの骨密度を横断的に比較した研究報告があります(Blockら、1989年)。この報告によると、水球を行っているグループの骨密度(脊椎、腸骨)は運動を行っていないグループより明らかに高かっただけでなく、筋力トレーニングを行っているグループと比較しても差がないことがわかりました。つまり、水中の運動であっても、運動を行っていない場合より骨密度が高いばかりか、陸上で行う運動と同等の骨密度を維持することができる可能性を示しています。
 また、閉経後の日本人女性を横断的に調査した研究(Tsukaharaら、1994年)によると、3年近く水中運動を継続的に行っている人では、まったく運動を行っていない人、あるいは水中運動を始めたばかりの人(3-4週間)よりも腰椎の骨密度が有意に高いことが示されています。さらに、これらの女性の骨密度の経時的な変化を見たところ、まったく運動を行っていない人では毎年1%近くずつ減少するところ、水中運動を行っている人ではむしろ毎年約1.5-2%ずつ増加する傾向が示されました。このように、水中運動であっても十分に骨密度の低下を防ぐことができるばかりか、その増加も期待することができそうです。過体重や関節に障害があるなどの理由で水中でしか運動ができない人にとっても、骨の健康を維持しながら安心して運動を続けることができそうですね。
 しかしながら、骨折閾値(この値以下だと骨折の可能性が高まる値)を下回っている閉経後の女性に1日60分の水中運動を週に3日、12ヶ月間行わせた研究(Bravoら、1997年)では、筋力や持久力は有意に高まったものの、大腿骨の骨密度は変化が見られなかったばかりか、脊椎の骨密度ではさらに減少さえ見られたと報告されています。骨減少性あるいはすでに骨粗しょう症の見られる場合の水中運動の実施には注意が必要なようです。
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これから寒くなっていくとだんだん運動することがおっくうになってしまいます。そうなると運動不足になって太ってしまいそうで心配です。やはり寒くても継続することが大切ですよね?!

 秋になりました。スポーツの秋、フィットネスの秋。体を動かすにはとても快適な季節です。しかし、秋が過ぎ少しずつ寒くなり日が短くなっていくと、屋外はもとより室内でのエクササイズでさえ行うことがおっくうになってしまうことも事実です。運動不足が気になるのも無理ありませんね。
 これまでの研究報告によると、冬場は夏場にくらべて明らかに身体活動によるエネルギー消費量が減り、その傾向は女性より男性のほうが強いことが示されています(PlasquiとWesterterp、2004年)。ところが、冬場は夏場にくらべて身体活動量は減るものの、一日全体で見たエネルギー消費量は男女ともにほとんど変わらないことがわかりました。これは、冬場では基礎代謝量が増加するからで、身体活動によるエネルギー消費量が減った分をちょうど補うようなかっこうになっています。しかも、体重にも目立った変化が見られませんでした(PlasquiとWesterterp、2004年、Plasquiら、2003年)。冬場の基礎代謝量の増加は気温の低下による影響が理由と考えられています。また、冬場では脂肪組織、筋肉の脂肪分解酵素(リパーゼ)の活性が高まることが知られており、これが冬場の体重維持に有効であることが示唆されています(Williamら、2000年)。
 一方で、夏場の身体活動が多くアクティブな人ではそうでない人と比較して、冬場では顕著に身体活動によるエネルギー消費量が減るようです。これはもっぱら屋外での活動が減るためであり、寒く日の短い冬場では仕方ないことかもしれません。ところが、最大酸素摂取量の変化を見てみると、冬場では有意に低い傾向にあることから(Ingemann-HansenとHalkjaer-Kristensen、1982年)、身体活動量の低下が明らかに影響していることがうかがえます。また、血圧を見てみると、秋冬ではそれ以外の季節に比べて有意に安静時、運動中ともに最高血圧が高くなる傾向にあり、これはフィットネスの低下によるものと考えられています(Mundalら、1997年)。加えて、血中の総コレステロール値も冬場では高くなるようです(Williamら、2000年)。やはり、寒くても継続してエクササイズすることが健康・体力維持には大切だということですね。
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夏バテのときに運動を行う場合の注意点はありますか?

 「夏バテ」とは一般的に用いられる言葉ですが、実際に意味するところは何でしょうか。「夏バテ解消!」などと言って、さまざまな料理やグッズが宣伝されたり趣向を凝らした健康法が紹介されたりと、もはや夏の風物詩(?!)の一つとも言えるようです。夏になったら当たり前、「お元気ですか?やぁ、夏バテで食欲がなくて・・・。」などと社交辞令の一つにも用いられるほどです。
 しかし、「夏の暑さでひどく疲れ、何をする元気も無い状態(になること)」と国語辞典(三省堂、新明解国語辞典第5版)に記載されているように、暑さからくる食欲不振や睡眠不足、疲れ、エアコンの効いた室内と屋外の温度差からくるだるさなどなど、この暑い季節特有の不定愁訴を引き起こすものであり深刻な健康問題です。国語辞典の記載にもあるように、「何をする元気も無い状態」である場合が多いことから、果たして実際に運動を行う意欲はどれほどのものでしょうか。
 夏バテの症状が食欲不振ならエネルギー切れや栄養不足、睡眠不足なら疲労回復の遅れ、だるさなら自律神経の不調など、どれも運動を行う上でふさわしくないコンディションであるだけでなく、運動を行うことによって、これらの症状を助長してしまう可能性すら考えられます。できれば夏バテの症状が問題となる場合は無理な運動は避けたほうが賢明かもしれません。ただ、適度な運動が食欲を刺激し睡眠を誘発することも考えられますので、この場合は注意しながら行うようにしましょう。
 夏バテは、暑さによる発汗と水分・ミネラル補給のアンバランスにより、体内の水分調整がうまくいかなくなることが引き金になって起こる場合が多いようです。このことから、夏バテを予防する意味も含めて、夏バテのときに運動を行う場合は水分とミネラルの補給に十分注意を払う必要があります。夏バテからより深刻な熱中症に発展する可能性もありますので、日中の暑い時間の屋外での運動はできるだけ避け、室内の運動であっても室温や湿度に気を配る必要があります。運動強度や運動時間も過剰になると夏バテを助長し熱中症の危険性を高めます。適度な運動を行い、適度に休息を入れ、また適度に水分とミネラルを補給することが重要です。水分・ミネラルの補給には0.1-0.2%程度の食塩と5%程度の糖質を含んだものを、運動強度に合わせて500-1000cc/時間、運動中は15-30分ごとに摂取するとよいでしょう。もちろん、運動後の水分・栄養補給も忘れずに。
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一日でも運動をしない日があるとイライラして落ち着きません。からだは疲れているのに運動を行わないと気がすまないのです。これって運動中毒か何かでしょうか?

 毎日規則正しく運動を行っている人が一日でも運動を行わないことがあると、朝出かける前に歯磨きを忘れたように気になるものですね。また、食事を抜いたときにお腹がすくように、運動を抜くと運動をしたい欲求に駆られることもあり、これは「運動欲」という生理現象の一つと言えそうです。
さて、習慣的な運動が健康維持・体力増進に必要であることは自明の理ですが、これが義務的になったりするとかえって「あだ」となることもあるようです。
 運動後は、経験的に爽快感や達成感といった快楽感をもたらすことは事実です。これは、運動を習慣付けるという点では有利に働き、運動効果のプラスの側面と言えます。
 しかしながら、習慣的に運動を行っている期間が長ければ長いほど、運動量が多ければ多いほど、一時的に運動からの刺激が止むと脱力感や空白感を引き起こすことも知られているところです。また、運動からの刺激による快楽状態がエスカレートすると耐性(量が増えないと効かなくなる)が生じ、結果、運動量をさらに増やさないと満足いかなくなってしまい、ある種の依存症に陥ってしまいます。
 このような運動への依存的な状況では、オーバートレーニングに陥りやすく、やがて怪我や故障を引き起こして運動ができなくなるばかりか、一時的な運動休止時よりももっと大きな抑うつ感、焦燥感、脱力感、不眠などの症状に見舞われることがあります。これまでの研究によると、過度の運動やトレーニングにより引き起こされる「うつ」などの精神症状は、脳内のセロトニンというホルモンの分泌低下により引き起こされると考えられています(Uusitaloら、2004年)。また、目標設定がきっちりされて義務感や意志が強く、また完璧志向な人ほど陥りやすいようです(PufferとMcShane、1992年)。持久競技のアスリートでは、実に10%もの割合でうつ状態にあるとの報告も過去にありました(Morganら、1987年)。これらは運動の負の側面の一つと言えるでしょう。
 運動に熱中し過ぎて仕事や日常生活とのバランスが崩れ始めたら、それは危険信号のひとつと言えます。また、からだの声に耳を傾けましょう。からだが疲れている、苦痛だと感じるのは心から発せられるからだの声です。からだの痛みを刹那的な自己満足で和らげても何の特効薬にもなりません。少しぐらい運動を休んでも、また元気に運動を楽しむことのできることを思い描いて、今は心とからだをリセットしてあげてはどうでしょうか。
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あまり触れられない話題ですが、エクササイズと恋愛、セックスには何か関係はあるのでしょうか?

 春になりました。新たなスタートの季節です。新しい出会いも多いことでしょう。また、恋の季節でもありますね。誰ですか、私には関係ないなんてさびしいこと言っている人は?!胸がドキドキ高鳴る新しい季節を満喫しましょう。
 ところが、恋愛、あるいは失恋などの情緒ストレスが心臓発作を引き起こすリスクを高めることを示す調査報告があります(Ebert、2005年)。これは、「失恋症候群」とも呼ばれ、研究者によれば、通常の心臓発作とはまた異なる様相を示すようです。胸の痛みや息切れを起こす点では同様で心筋のポンプ作用が弱まりますが、通常の心臓発作のように心筋細胞を破壊することはなく、事後の回復も早いようです。これには、カテコラミン(アドレナリンなど)というホルモンの分泌量の違いが関係しており、「失恋症候群」では通常の心臓発作の2-3倍のアドレナリンが分泌されるとのことです。アドレナリンは運動中にも強度に応じて分泌されるホルモンです。運動中は、エネルギー生産、呼吸循環機能等の運動遂行上必要な機能を高める役割がありますが、突然の情緒ストレスでは、急激に過剰分泌されることが心臓発作を引き起こしているのかもしれません。よくトレーニングされた運動者では、最大運動時の血中アドレナリン濃度の高いことが知られており、これは大きな運動ストレスへの耐性を表していると言えますが、果たして情緒ストレスに関してはどうでしょうか?
 一方で、有酸素運動とセックスに関する研究成果が報告されています(Whiteら、1990年)。この報告によると、9ヶ月間にわたって有酸素運動(最大有酸素能力の75-80%、60分/日、3.5日/週)を行った78名(平均年齢48歳)では、有酸素能力が高まったと同時に性欲も促進されたことが示されています。また、セックスの頻度やセックス中の機能、満足度が有酸素能力の改善度合いに応じて高まるとも述べられています。
 積極的に恋に挑むにも恋を育むにも、やはりエクササイズでフィットネスを高めておくことが大切なようですね。
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エアロビック・ダンスを長年指導しており、そのおかげで自らも健康でいられると思っていますが、他の運動と比べて実際の効果のほどはいかがなものなのでしょうか。エアロビック・ダンスの効果に関する研究は行われているのでしょうか?漠然と『エアロビック・ダンスはからだにいい』と認識してはいるのですが・・・。

 エアロビック・ダンスのような有酸素運動が、心臓循環器系や代謝系の機能を高め、健康の維持と改善に有効であることはよく知られているところです。また、エアロビック・ダンスが体脂肪量を減少させ、心臓循環器系のリスクを低減させることも報告されています(Okuraら、2003年)。この研究では、肥満女性90人を3つのグループに分け、それぞれダイエットのみ、ダイエットとウォーキング(毎日30分=150kcal)、またはダイエットとエアロビック・ダンス(週3回45分=1日あたり150kcal)を14週間行わせました。その結果、どのグループも体脂肪量が有意に減少しましたが、エアロビック・ダンスを行ったグループでは除脂肪体重の減少が最も小さかったようです。このことから、エアロビック・ダンスは筋量を維持しながら心臓循環器系のリスクを低減させるには特に有効であることが示唆されます。また、エアロビック・ダンスを行ったグループでは、脚伸展筋力や最大酸素摂取量の増加も顕著に見られ、血中LDL(悪玉)コレステロール値についても他のグループと比較して有意に減少することが認められました。このように、同じ有酸素運動であるウォーキングと比較する限り、エアロビック・ダンスは特異的な有効性を示しているようです。
 また、エアロビック・ダンス・エクササイズの中でも、ステップ・エクササイズとダンス・エクササイズでは脂質代謝への効果に違いのあることが報告されています(Kin Islerら、2001年)。この研究報告では、45人の学生に8週間、ステップ・エクササイズ、ダンス・エクササイズ、あるいはエクササイズなしのいずれかを行わせました(エクササイズはいずれも45分/日、3日/週)。その結果、エクササイズグループでは顕著に血中の中性脂肪値が低下しましたが、血中LDL(悪玉)コレステロール値に関しては、ステップ・エクササイズのグループのみ顕著に低下したとのことです。この因果関係については不明ですが、「エアロビック・ダンス」と一言で言っても、そのバリエーションによっては効果に違いのある可能性が示唆されています。
 最後に、エアロビック・ダンス、ヨガ、水泳などのエクササイズの気分(不安や抑うつなど)へ及ぼす影響を検討した研究報告を紹介します(Netz Y, Lidor、2003年)。女性147名が1年間にこれらのエクササイズのいずれかに参加したところ、ヨガと水泳では気分の改善が見られたものの、エアロビック・ダンスでは見られなかったようです。このように、エクササイズの目的をはっきりさせて、それぞれの指導へ取り組むことが重要ではないでしょうか。
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年末になり毎日忙しくて睡眠不足の状態が続いています。このような状態で運動を行ってもよいのでしょうか?また、忙しいから寝不足なだけではなく、忘年会が続いていることも理由です。

 つい最近、「睡眠不足は食欲を高め体重増加を促進する」といった研究論文がアメリカの内科学誌に発表されました(Spiegelら、2004年12月7日)。この研究によると、人における睡眠不足が胃からグレリンという食欲増進ホルモンを分泌させると報告されています。また、同時に、睡眠不足は、食欲を抑えエネルギー消費量を高めるレプチンというホルモンの分泌を抑制するとのことです。そして、被験者の体重は、睡眠時間4時間の人のほうが、9時間の人より多くなりました。
 さて、睡眠不足が及ぼす影響について、特に運動中についてはどうでしょうか。50時間眠ることなく起き続けた被験者に運動を行わせ、その時の交感神経活動や心拍数、アドレナリン、ドーパミンなどのホルモン、酸素摂取量、血中乳酸値などを、睡眠不足でない場合と比較検討した結果(MartinとChen、1984年)、このどの値にも差がなかったとのことです。ただし、最大まで追い込み、疲労困憊になるまでの時間を比べてみると、睡眠不足の影響は大きかったと報告されています。同様に、36時間一睡もせず起き続けた被験者に運動を行わせた際のストレスホルモンであるコルチゾールやベータエンドルフィンの値にも差が見られなかったようです(Martinら、1986年)。また、Hillら(1994年)は、25-30時間の無睡眠により運動時に活性化される代謝システムが有酸素性からより無酸素性にシフトするのではないかと検討しましたが、結果は睡眠不足でもほとんど変わらなかったようです。
 このように、睡眠不足により運動中の生理的機能が特別影響を受けることは少ないようですので、寝不足が食欲を高めるのであれば、それでも体重が増加えないようにがんばって運動したほうがよいかもしれません。ただし、疲労困憊までの時間が低下した上述の結果は睡眠不足による「不快感」が原因のようです(Martinら、1986年)。残業続きで寝不足だと、翌日の仕事に支障が出るように、この「不快感」を我慢してまで運動をする必要はないでしょう。この冬も快適にエクササイズしましょう。
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私が指導しているフィットネスクラブでは、メンバーさんによって、エアロビックダンスなどの有酸素性運動だけを行う方、ウェイトトレーニングだけを行う方、またはそれらの両方を組み合わせて行う方などさまざまな方がおられます。好みの問題かもしれませんが、運動効果の多様性から考えると、やはりいろいろなエクササイズを取り入れたほうがトータルな健康増進にはよいようにも思えますが、これには何か根拠はあるのでしょうか?

 一般に、エアロビックダンスなどの有酸素性運動とウェイトトレーニングのようなレジスタンス運動を組み合わせることによって、呼吸循環器系、代謝系、骨格筋系などの機能を向上させ、有酸素性作業能や筋力・筋持久力、柔軟性などを同時に高めることができます。したがって、このような総合的に体力向上を図ることのできる運動への取り組みがトータルな意味での健康増進の手段として実施することがよいとされています。
 しかしながら、運動暦や好み、あるいは運動環境や時間的都合などによって、実際にはエアロビックダンスならそればかりを、ウェイトトレーニングであればそれだけを実施する場合も多く見られます。Parkら(2003年)は、有酸素性運動、あるいは有酸素性運動とレジスタンス運動の組み合わせ(週に各3回ずつ、毎回1時間)によるトレーニングの体脂肪に及ぼす効果について検討しました。その結果、有酸素性運動のみを行ったグループ、有酸素性運動とレジスタンス運動の組み合わせを行ったグループともに最大酸素摂取量は有意に増加しましたが、体脂肪については、有酸素性運動とレジスタンス運動の組み合わせを行ったグループのほうが、有酸素性運動のみを行ったグループより減少することがわかりました。また、除脂肪体重は有酸素性運動とレジスタンス運動の組み合わせを行ったグループのほうがより多く増加していました。
 また、16週間の有酸素性運動(2回/週)、レジスタンス運動(2回/週)、それらの組み合わせ(各1回/週)によるトレーニングが有酸素性作業能、筋量、筋力に及ぼす効果について検討した研究報告があります(Izquierdoら、2004年)。それによると、有酸素性作業能については、有酸素性運動のみを行ったグループと、レジスタンス運動との組み合わせで行ったグループ間に有意な差は見られませんでした。また。筋量、筋力についても、レジスタンス運動のみを行ったグループと、有酸素性運動との組み合わせで行ったグループ間に有意な差は見られませんでした。
 これらの結果は、異なる様式の運動を組み合わせることでそれぞれの運動がお互いを補完し、単独で行った場合と同様の効果がもたらされたことを示唆していると言えます。また、どちらかの運動に偏って実施する場合と比較して、同じトレーニング頻度でも同様の効果が得られるだけでなく、他方の運動の効果までも得られるというメリットを示唆するものです。このように、異なる様式の運動を組み合わせて実施することが、その相互効果によってより有効であると言えるのではないしょうか。
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梅雨入りし、気温も湿度も高くなってきました。普段は全天候型のフィットネスクラブ内でエクササイズをしているのである程度は我慢できますが、いくら空調の効いている室内でも汗の出る量は半端でなく、また息苦しく感じることもあります。梅雨の季節のエクササイズって、あまりからだにとってよいことではないのでしょうか?

 梅雨に入り、平日もさることながら週末のたびにこう雨に見舞われると、私にとってはせっかくの貴重なエクササイズの機会なのに、それが減ってばかりでしかたありません!と言っても、雨は天の恵み。私たちもその恩恵をいろいろなところで受けているはず。不満ばかり言っていられませんね。実は、この暑くムシムシする天気もエクササイズを行う上でプラスになることもあるようですよ。
 古くからの研究によると、真夏のような高温で湿度も高い環境下と春先のような快適な環境下で持久的トレーニングを行った場合では、前者のほうが発汗作用や皮膚血管拡張などの体温調節機能が高まることが示唆されています。また、これからのような蒸し暑い季節にトレーニングを行うことにより、たとえ軽い運動でもこの体温調節機能は高まりますが、快適な環境下で同じような効果を得ようと思えば、もっと高い負荷で、しかももっと長い期間トレーニングしなければならなくなります。
 少し前の研究では、高温多湿の環境下での順応により、同じ負荷での運動時間に延長効果が見られ、また、心拍数や酸素摂取量の低下や血漿量の増加、汗に含まれるナトリウム濃度の低下が認められました(Nielsenら、1997)。さらに、競争馬を用いた研究では、高温多湿の環境下でのトレーニングによる順応によって、運動時間が延長しただけでなく熱産生量が減少し(Marlinら、1999)、低温で低湿度の環境下でのトレーニングと較べて、顕著に直腸温や心拍数が低下した(Geor、1996)と報告されています。
 一方、このような高温多湿の環境下でトレーニングした場合では、そうでない場合と較べて、環境条件に関わらず同じ時間、同負荷で運動を行った際の体温上昇が低く、発汗量も少なくなります。また、汗に含まれるナトリウム濃度が低く抑えられることにより、体内のミネラル損失も防ぐことができるようになります。つまり、高温多湿の環境下でトレーニングを行うと、より効率よく運動を行うことができるようになるだけでなく、この不快な毎日も少しずつ過ごしやすくなるわけですね。
 どうですか、見上げる空はじめじめジトジトとしていますが、今こそエクササイズにいっそう励んでみては?そうしたら、やがてはからだも心ももっと快適になりますよ!
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エアロビックダンスやジョギングなどは通常「有酸素的運動」と呼ばれていますが、一方で、全力走やウェイトトレーニングのような短時間に大きな筋力を発揮する運動は「無酸素的運動」と呼ばれています。人間のからだは、このように「有酸素的」、「無酸素的」とうまく割り切られて働いているのでしょうか?

 普段、私たちは、エアロビックダンスなどの長時間続けられる持久的な運動を「有酸素的運動」と呼び、スプリント走などの瞬発的な運動を「無酸素的運動」と呼んでいます。ところが、これは便宜上のもので、実際のからだの中では、このように「有酸素的」「無酸素的」といったように明確に分けられているわけではありません。からだの中でこれらは、常に連続的に混在していると言えます。
 実際、この「無酸素的」な状態を示す代表格であると思われている乳酸は、細胞レベルで見ると酸素の存在する「有酸素的」な状態であっても生成されています。つまり、有酸素的運動中でも細胞では乳酸が発生しているのです。逆に、「無酸素的運動」であっても、細胞レベルでは酸素を利用することによって大量に生成される乳酸の処理が活発になります。
 要するに、「有酸素的運動」、「無酸素的運動」にかかわらず、運動中はエネルギー代謝の一環として細胞で乳酸が生成されるのです。ただし、乳酸は発生するものの、一方では同時に除去もされています。この細胞内の生成と除去のバランスによって、見かけ上、血中の乳酸値が上昇したり低下したり、あるいは一定状態を保ったりしているわけです。そこを私たちは、便宜上、細胞内の乳酸の生成に対して除去が間に合わず、結果として血中乳酸値が激しく上昇したりするような運動を「無酸素的運動」と呼ぶことがあります。また、細胞内の乳酸の生成に除去が十分追いつき、結果として血中乳酸値が一定状態を保たれるような運動を「有酸素的運動」と呼んでいるのです。
 エアロビックダンス中の心拍数、酸素摂取量、血中乳酸値を、ローインパクトとハイインパクトの二つの運動強度の間で比較した研究報告があります(De Angelisら、1998年)。これによると、ハイインパクトのエアロビックダンス中では、心拍数や酸素摂取量は最大値の90%以上を示し、血中乳酸値は運動中一貫して上昇し続け非常に高い値を示しました。これらはいずれも、ローインパクトのエアロビックダンス中のものより有意に高いものでした。このように、当然のことですが、「有酸素的運動」と呼ばれるエアロビックダンスであっても、「無酸素的」な特徴ももっている場合もあることがあえて示されています。 
 このように、エネルギー代謝の特徴的な傾向として、どちらかというと「有酸素的」あるいは「無酸素的」とすることで、便宜上、運動の種類を分類しているのですね。
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むしゃくしゃする時や考えがまとまらない時など、あまり気が進まなくても思い切って運動を行うと、何故かその後には頭の中がすっきりとすることってありませんか?!あれほど頭を悩ませていたことでも運動を行うと、かえってよいアイディアが浮かんでくることがよくあります。これって、運動の効果と言ってよいのでしょうか?

 そういった経験ってありますよね!僕自身も仕事のアイディアが浮かばないときは、悶々とするより、さっと外へ走りに出かけることがよくあります。ところで、京都銀閣寺から続く「哲学の道」は、およそ1.5キロにわたる哲学者たちの思索の場であったことが名称の由来だそうです。哲学者たちは、この道を歩き散策しながら思考を深めていったのでしょうか。
 さて、運動と思考力などの脳の働きの関係についての研究は、最近になってようやく緒についたと言えるかもしれません。集中力や積極的思考が運動パフォーマンスを高めるといった研究はずいぶん以前から行われていますが、運動がどのように脳の働きに作用するかはまだ不明な点が多いようです。
 筑波大学運動生化学研究室(征矢(そや)助教授)では、リズミック運動が脳の血流量を高め、学習力や記憶力、そして気分を高めることを実証しています。動物の実験でも、走トレーニングを行ったラットでは、そうでないラットよりも迷路における学習力が有意に高かったことが示されています。
 運動には、脳内の学習力や記憶力を司る海馬における神経細胞の新生を促進する働きがあることが解明されています(Kimら、2003年)。筑波大学征矢研究室では、走運動時の海馬における神経栄養因子(神経の成長や再生を促進する栄養)の遺伝子発現を確認しています(2003年)。このように、脳への運動効果はもはや経験的なものではなく、科学的にも明らかにされ始めているのです。
 しかしながら、この神経細胞新生促進効果は、中高強度の運動時よりも、低強度の運動時に顕著であることもわかっています。また、脳血流量も乳酸性作業閾値(LT:乳酸が血中に増加し始める強度)よりも低い強度で増加するようです(征矢研究室)。運動の脳の働きを高める効果には、その強度がポイントになるようです。激しい運動ではなく、比較的低い強度の心地よいぐらいの運動が脳の働きを高めるにはちょうどよいようですね。
 「哲学の道」もこれからは桜の季節です。みなさんもこれからの季節、気持ちよく運動して「脳フィットネス」を高め、ひらめき(?!)の季節を過ごしましょう!
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寒い日の運動を効率よく行うにはどうしたらよいでしょうか?

 これからますます寒くなる季節。とはいえ、家でじっとしているわけにはいきませんね。寒い冬の日に運動を行うと思わぬメリットがあることをご存知ですか?また、寒い冬だからこそ気をつけたいこともあります。
 寒い環境では、温かい環境と比較して酸素摂取量が高まる傾向にあります(McArdleら、1984)。これは安静時のみならず、運動時においても起こります。同じ強度(低中強度)であっても、寒いときのほうが酸素摂取量は高くなります。寒さからくる体温の低下を抑制するために反射的にふるえを起こし、体脂肪を燃焼していることが主な理由です。その他、寒冷によるケトン体生成や基礎代謝の上昇、寒さによる関節の硬さなどの運動効率低下に対するエネルギー消費の増大などが理由として挙げられます。ただし、この恩恵も運動強度が高くなると消失するようです。
 また、寒い環境下では、体脂肪の多い人のほうが少ない人に比べてエネルギー代謝効率は高まります(TonerとMcArdle、1988)。体脂肪の多い人のほうが、低温化における体温の低下を脂質代謝を維持することによって抑えることができるようです。このように、体脂肪の気になる人は寒い冬こそ運動に励むべきかもしれません。ただ、この寒さによる体脂肪燃焼促進効果は、女性では男性と比較して低い傾向にあるようです(Shephard、1993)。
 一方で高齢者においては、寒い環境下の運動時に酸素摂取量が高まる傾向が若い人と比べてさらに強くなるようです(Falkら、1994)。したがって、高齢者に運動指導を行う際には、普段と同じ運動強度でも、寒い日には実際の生理的負担がより高まっていることに注意する必要があるでしょう。いつもより少し低めの強度で運動を行うことが安心かもしれませんね。
 最後に、寒い環境下では十分なウォームアップが欠かせないことを付け加えます。筋肉は冷えると柔軟性の低下を引き起こし、何らかの障害が発生しやすくなります。寒い外からの仕事帰りなどにフィットネスクラブへ寄って運動を始める前には、十分なウォームアップを行うようアドバイスしましょう。この場合、ストレッチングのような静的なものよりも、まずは軽い自転車こぎやウォーキングのような動的なものを行うほうが、特に寒い季節には有効のようです。寒さに負けず快適なフィットネスライフを。
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久しぶりに筋トレを行ったら、次の日に筋肉痛に見舞われました。筋肉痛のあるときは、やはり運動は何も行わないほうがよいのでしょうか?

 久しぶりに運動を行い、次の日の朝、ひどい筋肉痛に思わず顔をしかめる。スポーツの秋だからといって普段動かさないからだを無理して動かすと、ちょうどこのようになりますね。いつもは筋肉痛が起こることもなく行っていた運動であっても、ちょっと間を置くことで痛みが生じることもあります。では、そんな筋肉痛が起こってしまったときはどうすればよいのでしょうか?
 筋肉痛といっても、筋や筋膜などの断裂や挫傷のような筋傷害により生じる痛みである場合と、運動後に遅れて生じる筋肉の痛み(遅発性筋肉痛: DOMS)である場合があります。前者の場合は、受傷後すみやかに応急手当を行うことが肝心です。一般に、「R.I.C.E..」と呼ばれる安静(rest: R)、冷却(icing: I)、圧迫(compression: C)、挙上(elevation: E)といった一連の処置を行うことが有効です。また、必要に応じ医師など専門家の診察または指示に従いましょう。
 一方、遅発性筋肉痛の場合、たとえ多少の痛みのある筋に運動負荷をかけても、筋肉痛が悪化したり回復が遅れたりすることはまずないようです。NosakaとNewton(2002)によると、一日おきに繰り返し同じ筋を用いてストレンクストレーニングを行った群では、毎回の運動後には筋力の低下が見られるものの、1回のみのストレンクストレーニングを行った群と比べ、筋力の回復スピードには差がなかったと報告しています。筋肉痛の程度も繰り返し群ほうが特に大きいこともなく、むしろ同群では筋肉痛の軽減が見られました。
 このように、遅発性筋肉痛が生じても運動を行ってはいけないことはなさそうですが、とはいえ筋肉痛がある以上は筋はまだ回復過程にあるため、過度の負荷をかけることは避けるべきでしょう。また、筋肉痛がある状態では、痛みが気になって集中を欠いたり、痛みをかばうために不適切なフォームで運動を行い他の部位に余計な負担をかけてしまう場合が心配されます。したがって、筋肉痛のあるときは無理をせず筋肉痛のない部位の運動を行うか、あるいは水泳などの全身運動で筋のコンディショニングに取り組むとよいでしょう。
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ウォーミングアップの重要性について理解していますが、運動後のクーリングダウンの重要性について教えてください。また、クーリングダウンを行っておけば筋肉痛が軽減できると聞きますが、本当でしょうか?

 ウォーミングアップと同様に、運動後にクーリングダウン(以下CD)を行うことは重要です。その主な目的は、徐々に運動強度を下げることによって、正常な血液循環を維持しつつ徐々に心臓循環器系の負担を和らげていき、運動によって高進したからだの状態を元の状態へ戻すことにあります。急に運動を止めたりすると、正常な血液循環を維持することができず、脳貧血、めまいや失神、ひどいときには心臓発作などを引き起こす原因になります。
 また、運動により蓄積した疲労の原因物質である筋の乳酸を素早く血中へ拡散させ除去するためにも、軽い運動によるCDが有効です。CDをせずにいきなり完全休息をとると、筋のポンプ作用が十分に働かず血液循環が滞り、乳酸の拡散が遅れてしまいます。
このように、運動前のウォーミングアップと合わせて、運動後のCDは障害予防や疲労回復のためにとても重要となります。酷使した筋の緊張をほぐすためにも、ストレッチングと合わせて行うとより効果的でしょう。
 ところで、ご質問にもあるように、運動後のCDは実際に筋肉痛の予防に効果があるのでしょうか? Lundら(1998)は、大腿四頭筋の伸張性運動を疲労困憊まで行わせた後、同じ筋のストレッチングを行ったときの遅発性筋肉痛、低下した筋力への影響を7日間にわたって検討しました。その結果、ストレッチングは遅発性筋肉痛、筋力ともに効果がなかったと報告しています。前述のように、運動後の軽運動をCDとして行うと乳酸の除去が早まりますが、乳酸は遅発性筋肉痛の原因ではないことがわかっていますので、運動後の軽運動も筋肉痛を予防したり軽減したりすることは難しいようです。また、今のところ、マッサージ、サプリメント(アミノ酸?!)、抗炎症剤などが遅発性筋肉痛の予防または軽減に有効であることを裏付ける科学的根拠は薄いようです。ただ、ウォーミングアップとして使用する筋群の軽運動を運動前に行っておくことは、ある程度の筋肉痛の軽減に効果的のようです。
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ストレッチングなどを運動前のウォーミングアップとして行うことは一般的になっていますが、中にはウォーミングアップを行わないで、いきなりトレーニングに入ってしまうメンバーさんも多く見受けられます。それらの方に説明するためにも、改めてウォーミングアップの目的を確認したいと思いますが、教えていただけますか?

 運動前にウォーミングアップ(以下WU)を行うことは今や常識。でも、中にはその目的をよく理解されていない方もおられるのでは?!目的を理解せず間違った行い方をしているとかえって逆効果になることも?!
 WUでからだを動かすと、筋の中で糖が消費されて熱が産生され筋温が高まります。筋温が1度上昇すると、筋のエネルギー利用効率が約13%上昇すると報告されています(AstrandとRodahl, 1977)。また、WUによってある程度まで筋温が上昇すると、筋の粘性が低下して動きやすくなり、筋への血流量や酸素運搬量が増え、また筋の神経伝達速度も高まり、より効率よく運動を行うための環境が整います。そして、さらに大事なことは、WUが筋の損傷や傷害を防いでくれることにあります。
 ところで、最近こんな研究報告が発表されました。軽い走運動あるいはストレッチングをジャンプ力や瞬発力、筋力のテスト前にWUとして行い、それらのテスト結果へ及ぼす影響を調べたところ、軽走運動ではいずれのテストでもプラスの効果を示しましたが、ストレッチングではいずれのテストでもマイナスの効果を示しました(YoungとBehm, 2003)。瞬発系、パワー系の運動前のストレッチングは逆効果のようです。同様に、Fowlesら(2000)もストレッチング後の筋力が最大30%近く減少し、その減少はストレッチング後60分間も続いたと報告しています。ストレッチングが筋活動や筋収縮を制限することが理由と考えられています。
 このように、トレーニング前のWUは運動の目的に合わせて行う必要がありそうです。つまり、怪我を予防して安全に運動を行いたい方のWUにはストレッチング、あるいはストレッチングと軽運動の組み合わせがより有効ですが、特に瞬発系・パワー系の運動を行う方には、これから使用する筋群の簡単な運動がより適しているでしょう。また、筋肉痛予防においてもストレッチングより使用する筋群の軽運動のほうがWUとしては効果的のようです。
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(私が指導している)メンバーさんの中で、最近特にお仕事が忙しくどうしても思うようにクラブへ通うことができないため、これまでのせっかくのトレーニング効果が台無しになるのではないかととても心配されている方がいます。トレーニングを中止してもある程度の期間は効果が持続されると聞きましたが、もう少し詳しく教えてください。メンバーさんへのアドバイスにいかしたいと思います。

 「継続は力なり。」トレーニング効果を維持するためには、やはりトレーニングを継続して行う必要があります。ただ、トレーニングを中止したら、直ちにその効果がなくなってしまうわけではありません。それは、トレーニング期間や体力レベル、年齢、トレーニング休止期間及びその間の行動習慣などによって違ってきます。
 これまでの研究によると、7週間のトレーニング休止によって、最大酸素摂取量及び有酸素系能力が約5%減少したと報告されています(Linossierら, 1997)。ところが、最大無酸素系パワー及びスプリント能力はトレーニング休止前の水準が維持されました。このことから、7週間トレーニングを休止しても無酸素系能力へ及ぼす影響は少ないが、有酸素系能力を維持するためにはトレーニングを継続する必要があると示唆されています。
 また、4週間のトレーニング休止では最大酸素摂取量への影響はほとんどなかったと報告されています(Madsenら, 1993)。ところが、最大酸素摂取量の75%強度での最大運動時間は21%も減少しました。同様に、3週間のトレーニング休止を行った報告(Mooreら, 1987)でも最大酸素摂取量への影響はありませんでしたが、ミトコンドリア内の酸化酵素活性が低下し脂質の代謝が低下したと述べられています。
 このように、3−4週間ほどのトレーニング休止では最大酸素摂取量への影響は少ないものの、有酸素系能力(酸素摂取維持能力)の低下は免れないようです。一方で、無酸素系能力のほうは、それ以上の期間のトレーニング休止であっても何とか維持はされるようです。ただ、完全なトレーニング休止ではなく、量及び質を3分の1から3分の2程度まで減らしたトレーニングを継続できるのであれば、有酸素系能力であってもその水準は数ヶ月に及んで維持されるようです。
 貯えたお金は使わなければ減ることはありませんが、体力貯金の場合は使わないとどんどん減ってしまいます。ただ、使えばまた増えてくるものです。日々、体力貯金をこつこつ蓄えていくことが大切なのですね。
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