再考:シートチューブ角度〜トライアスロンバイクは「前乗り」であるべきか?
トライアスロンバイクと言えばエアロバー。エアロバーはトライアスロンバイクの象徴とも言える。エアロバーを用いることを特徴とするエアロポジションでは、ペダリングへの支障を避けるため、自然、重心やサドルに座る位置あるいはサドル位置自体が前方へと移った。これが「前乗り」と呼ばれるものだ。
この結果、「トライアスロンバイク」といった独特のジオメトリーを持つバイクそのものが設計され普及していった。これらのバイクでは、シートチューブの傾斜角が相対的に大きい。通常、ロードバイクのシートチューブ角度がほぼ73-75度の範囲にあるのに対し、トライアスロンバイクでは76-78度の範囲にあり、シートチューブがより立っていることを特徴とする場合が多い。
しかしながら、バイクのもつ特徴的なジオメトリーや、前寄りのサドル位置によって生じる弊害の可能性についても同時に指摘された。たとえば、重心が相対的に前方へ移動することによって、腰・殿部、大腿裏側の体背面の緊張が緩み、逆に前面の筋肉の緊張が高まる。これによって、特に大殿筋や大腿ニ頭筋などのハムストリングス(脚の裏側の筋肉)が使いにくくなる一方で、脚の表側になる大腿四頭筋を酷使し、ひいてはバイクパートの後に控えるランに大きなダメージを残すためよろしくないというものだ。
では、実際にこの「前乗り」は、バイク、そしてランのパフォーマンスにどのような影響を与えるのだろうか。サイエンスの目で見てみよう。
私が在籍していたオレゴン州立大学の運動生理学ラボでは、シートチューブ角度がバイクパフォーマンスへ及ぼす影響に関する研究が行われており(Heilら、1995年)、私もその現場に居合わせたことがある。この研究によれば、シートチューブ角度が大きくなることに伴って股関節伸展角度(クランク位置が上死点の時に大腿と骨盤がなす角度)が増大したが、これにより同じ強度における酸素摂取量や心拍数は低下したと報告されている。つまり、シートチューブ角度が大きく、大腿と骨盤の間の余裕が大きい場合のほうが心肺機能、代謝への負担が小さいと言える。
また、シートチューブ角度が68、74、80度の場合のそれぞれにおける酸素摂取量とパワー出力効率を検討した研究(PriceとDonne、1997年)では、同様にシートチューブ角度が大きいほど、同一運動強度における酸素摂取量が低く抑えられ、逆にパワー出力効率が増大したと示されている。
このように、シートチューブの立ったバイクによる前乗りのほうが、同じ運動強度でも代謝効率がよく、パワー発揮も高まるようだ。これは、結果的にバイクパフォーマンスの向上にも貢献するに違いない。また、これにシートチューブ角度が大きくなることで容易になるエアロポジションの効果も加わると、実戦ではさらなるメリットが期待されるだろう。
バイクでの効率が高まると、当然、ランでのパフォーマンスにとってもメリットがありそうだ。さて、これには根拠があるだろうか。
GarsideとDoran(2000年)は、シートチューブ角度の異なる2種のバイク(73度と81度)を用いて一定強度で40キロを走らせ、その直後の10キロランタイムトライアルへの影響を検討した。この結果、バイクとランの総合タイムと、10キロラン単独のタイムでは、いずれもシートチューブ角度が大きいほうが速かった(図1と図2)。これは、シートチューブ角度が大きいことによりバイクにおける代謝効率が高まり40キロのフィニッシュタイムが速くなっただけでなく、ランのパフォーマンスにもプラスに働いていたことを示している。この10キロランへの効果は、特に前半5キロにおいて顕著だった。研究グループは、このランへの効果の理由として、エネルギー代謝効率の増加や心肺機能への負担の軽減に加え、ストライドとピッチの大きな増加を挙げている。つまり、シートチューブが立ち前乗りをすることにより、大殿筋や大腿ニ頭筋などのハムストリングスへの負担を軽減し、ラン時に特に重要となるこれらの筋群を節約した結果と言える。
さらに、障害予防面から見てもシートチューブ角度が関与している(Salaiら、1999年)。サイクリストの30-70%は持つと言われる腰痛だが、シートチューブ角度を大きくすることにより、骨盤と腰椎間に生じる緊張を緩和することによりその痛みを軽減し、腰痛の発生件数を減少させたと報告されている。
このように、トライアスロンバイクのために生み出された特徴的なジオメトリーの一つであるシートチューブ角度には、これぞトライアスロン専用と言わしめるに足る意義ある根拠があった。もっとも、バイクの設計には、このシートチューブ角度以外にも多くの観点からの検討を要することは言うまでもない。しかし、これまで経験のあるエンジニアの主観に頼ってきた面も否定できない。サイエンスの力を借りてバイクを選ぶ時代に来ているかもしれない。
パフォーマンスアップのためのスイム戦略:ドラフティング
トライアスロンの第一番目の種目であるスイムでは、通常、自分の泳力をわきまえ、スタートする位置を自らで決めるセルフシードのマススタートで行われることが多い。スタート位置を間違えると、持っている力を十分に発揮できないばかりか、泳力のある選手の勢いに押されオーバーペースになったり、バトルに巻き込まれたりすることもある。しかし、スタート位置が適切だと、持っている以上の力を発揮できる。あるいは、スタート後しばらく経って集団がこなれてきてからでも、戦略的に泳ぐ位置を工夫したい。ドラフティングを使うのだ。
前を泳ぐ選手に蹴られたくない、他の選手との接触がわずらわしいなどの理由で、ドラフティングを使っていない人もいるかもしれないが、多くの人が練習中やレース中に体験しているようにその効果は絶大だ。ここで改めてその効果について検証してみたい。
フランスの研究グループ(ChatardとWilson、2003年)によって、ドラフティングはスイム中に発生する水の抵抗(パッシブドラッグ)を最大で20%程度まで減らすと報告されている。また、ドラフティングによってスイム中の酸素消費量が約10%、血中乳酸濃度にいたっては40%近くも低減されたことが示されている。これらは、ストローク数の減少とストローク長の伸長に貢献し、結果的にスイムパフォーマンスを向上させる。
しかも、スイムにおけるドラフティングは、バイクにおけるパフォーマンス向上にも一役買う。オーストラリアの研究グループ(Delextratら、2005年)は、よくトレーニングされたトライアスリートを対象に、750メートルのスイムをレースペースで単独で泳がせた場合とドラフティングで泳がせた場合のその直後におけるバイクパフォーマンスを比較検討した。その結果、ドラフティングを行った場合では、単独の場合と比べて、発揮されるトルクの平均値が有意に高いことがわかった。これは、ドラフティングによって脚の疲労が効果的に抑えられたからだと考えられている。また、同じグループの研究報告(Delextratら、2003年)では、スイム中のドラフティングがバイク中のエネルギー代謝効率を約5%高めたことが示されている。つまり、ドラフティングは、バイクにおけるエネルギー節約へも貢献するのだ。
このように、バイクでドラフティングが禁止されていたとしても、スイムにおけるドラフティングの恩恵をバイク中にも得ることができる。これについては誰からも文句は言われまい。
では、ドラフティングの恩恵を最大限に得るにはどうすればよいのだろうか。これには、前を泳ぐ選手との距離や位置などが重要となる。バイクでは、前を走るライダーにできるだけ近づいたほうが有効とされる(Oldsら、1995年)。スイムの場合も同様で、図1のように、前を泳ぐスイマーのつま先から自分の指先までの距離が0cmと50cmの場合において抵抗が有意に低かった(ChatardとWilson、2003年)。酸素消費量、血中乳酸値はどの距離でも効果はあったが、200cmを超えるとその効果はほとんど消失するようだ。また、ドラフティングの距離が0cmだと泳ぎにくいこともあり、前を泳ぐ選手のキックによって乱水流が発生しかえって抵抗になることもあると指摘されている。となると、50cmの距離が最適ということになるだろうか。
また、他の選手の横を泳ぐ場合でも、真後を泳ぐ場合より効果は低いがドラフティングの恩恵を受けることができる(図2)(ChatardとWilson、2003年)。この場合、真横を泳いでいても効果はない。また、横に近づきすぎても、隣の選手の体が作り出す乱水流の影響を受けやすい。実験では、隣を泳ぐ選手との体の軸に対して垂直方向の距離を100cmほどに保ちつつ、やや後方を泳ぐ場合に有意なドラフティング効果が示されている。また、隣の選手が伸ばした手の位置から体の軸方向に50−100cm後方に自分の伸ばした手の位置(あるいは隣の選手のお尻の位置に自分の頭)がくるようにすれば、他の選手の横を泳ぐ場合でもドラフティングの効果を受けやすい。
このように、ドラフティングによって、真後を泳ぐ場合では3−5%、横を泳ぐ場合では1.5−3%のパフォーマンスアップが臨める。これは、1500mのレースでは15−45m、1時間以上のレースでは45−135mの違いになるという(ChatardとWilson、2003年)。さらに、バイクへの効果が加わり、かなりの競技成績アップが見込めるはずだ。案外、技術的な要素も含まれており、練習でも取り入れることが必要かもしれない。ぜひ、積極的に試してみてはどうだろうか。
ウェットスーツの真価〜ウェットスーツの活用法
アイアンマン・ハワイなどの一部の大会を除き、ほとんどのトライアスリートがスイム中にウェットスーツを着用してレースを行っているはずだ。しかし、どれだけの人がその効果を実感しているだろうか。ウェットスーツを着てプールで泳ぐことのできるトライアスリートならまだしも、レース直前のコース試泳で初めて試してみる人もまれではない。あるいは、レース前になってようやく、しまってあったウェットスーツを引っ張り出して試着しては、昨年の体型と比較するためのモノサシに使ってしまうこともあるのでは・・・?!
オープンウォーターのスイムパートでは、プールでの泳ぎと比べて他の要因(潮流、他のスイマーとの「バトル」、コース取りなど)による影響も少なくないため、どれほどウェットスーツが効果を発揮しているかつかみにくい。レースでのみ着用する人では、むしろ、窮屈感や動作の違和感などを覚える場合のほうが多いかもしれない。
しかし、ウェットスーツを着用することには確かにメリットがあるようだ。ウェットスーツを着用した場合の推進抵抗(アクティブドラッグ)は、着用しない場合と比較して100メートルを80秒で泳ぐときのスピードにおいて実に14%も低下する(Toussaintら、1989年)。この効果には、ウェットスーツによる浮力の増加と前面投影面積の減少が関連している。そして、ウェットスーツを着用した場合の推進抵抗の低下は、泳中の酸素摂取量や血中の乳酸濃度の低下をもたらすことから、生理的な負担を軽減させることにも貢献している(Chatardら、1995年)。
また、ウェットスーツを着用した場合では、ストローク長が伸びるだけでなく、プル動作が素早くなることによって、左右の腕が交互に推進力を発揮するために生じる時差が短縮されることが知られている(Hueら、2003年)。この場合、ストローク数やリカバリーのスピードには変化がほとんどないことから、結果として泳ぐスピードが速くなるようだ。
ところで、ウェットスーツを選ぶとき、フルスーツにするか、ロングジョンにするか迷うことが多いが、一般的にはフルスーツが「最速」と考えられているようだ。しかしながら、泳中の酸素摂取量、呼吸量、心拍数やエネルギー代謝には、スピード(100メートルを1分16秒から50秒)にかかわらず、フルスーツとロングジョンの間には有意な違いが見られなかったとする研究結果が報告されている(図1、図2、図3、Trappeら、1996年)。しかも、ロングコースや水温が高い場合など、フルスーツ着用による体温上昇が問題となる場合も少なからずあるようだ。トライアスロンでは、この体温上昇の影響はスイム中よりもむしろその後のバイクやランパートで深刻となる。スイムパートだけを見るとフルスーツにやや分があるようだが、トライアスロン全体で考えるとある程度の考慮は必要になるだろう。
このように、ウェットスーツのスイムにおける有効性については理解されているが、トライアスロンにおいてスイムの後にひかえるバイクパートへのウェットスーツ着用の影響に関してはあまり知られていない。Delextratら(2003年)は、9人のトライアスリートにレースペースでまず750メートルを泳がせ、次にATレベルで10分間バイクをこがせた時のウェットスーツ着用による影響を調べた。その結果、ウェットスーツを着て泳いだ場合では、そうでない場合と比較して、バイク中のエネルギー消費量が12%低下することが示された。つまり、ウェットスーツを着用することは、単にスイムパートのパフォーマンスを高めるだけでなく、その後のバイク、そしてランへも有効となり、ひいてはレースそのもののパフォーマンスに貢献するようだ。
しかしながら、このようなウェットスーツ着用のメリットには個人差がある。ウェットスーツを着て泳ぐと、浮力の増加と前面投影面積の減少により推進抵抗が減少してより速く泳げるようになると上に述べたが、これは体格の大きく体重の重い人では有効となるものの、比較的体格が小さく体重の軽い人にとっては限定的なようだ(Toussaintら、1989年)。
また、泳ぐスピードが速くなるほど、ウェットスーツの恩恵が小さくなることも指摘されている。実際、競泳選手ではウェットスーツを着ても着なくても400メートルのパフォーマンスやエネルギー消費量には差が見られなかった(Chatardら、1995年)。ところが、同じ実験では、競泳選手より泳力の劣るトライアスリートにおいてはパフォーマンス、エネルギー消費量ともに顕著なウェットスーツ効果が示されている。したがって、比較的泳力の低いトライアスリートにとってはウェットスーツのメリットを最大限に享受し得るが、競泳出身者や泳力のあるトライアスリートにとってはそのメリットも限られてくるようだ。
ウェットスーツの価値を今一度見直すことが必要ではないだろうか。
アフター・アイアンマン・ブルース〜レースの後の危険な落とし穴
4月の宮古島に5月のアイアンマン・ジャパンと、国内の主要レースのうちの二大レースがすでに終わった。出場したトライアスリートは、きっとレースまでの日々をハードに追い込み、体重も激減して、さらにレースでは最大のパフォーマンスを出しきろうと心身ともに相当酷使したに違いない。それぞれのレベルで目標を掲げ、日常生活のストレスをくぐり抜け、限られた時間の中で精一杯のトレーニングを続け、体も精神もかなりのストレスにさらされてきたはずだ。
レースの日は必ず来て、やがては去っていく。レースの後の疲労回復は重要だ。これがあってこそ、次のトレーニングやレースにまた取り組むことができるのだ。しかし、この疲労回復は単に肉体のリセットだけでなく、心のリセットでもあることを知っておこう。
心や精神がリセットできずにいると思わぬ落とし穴に陥ることがある。目標レースまでの長い間、仕事や家庭とのバランスをかろうじて維持しつつもトレーニングに熱中し、その成果や自らのパフォーマンスへ大きな期待を寄せる。あるいは、トレーニングを行うことで自尊心を高め、まるで生活の隙間を埋めるかのように、特別な思いでその意味を見つけようとする。
しかし、レースが終わり、フィニッシュゲートも取り壊され、アワードパーティも幕を閉じ、それぞれが家路につく頃、これらの期待や自尊心は全て時間とともに過去のものになる。レースに満足したか否か、パフォーマンスが期待通りのものだったか否かは問題ではなく、まるで戦う敵を失った兵士のように途方に暮れてしまう。そして、現実の世界では周りの誰もレースのことなど気にも留めていない。まるでレースなど実際にはなかったかのように携帯電話代の請求書が届き、たまった仕事をこなし、朝のゴミ出しをしなければならない。現実は、通常通りに進行しているのだ。レース前の最高にまで鍛えられた肉体、意気揚々とした気分、困難を決して恐れない武勇心は、レース後には夢のように跡形もなく消え去っていく。残るのは、疲れ果てた心身と空白感、そして完走メダルと洗濯物の詰め込まれた大きな旅行カバンだけだ。
ハワイ・アイアンマンを8回優勝しているクイーン・オブ・コナ、ポーラ・ニュービーフレイザーは、アイアンマンなどのレース後に頻繁に起こる精神状態を「AIDS(エイズ):After
Ironman Depression Syndrome(アフター・アイアンマン抑うつ症候群)」と呼んだ(「Triathlete」1998年)。AIDSの名称に他意(疾病のエイズについて)はないが、アイアンマンのような過酷なレース後には、多くのトライアスリートがうつ状態や心の空白状態に見舞われることをさしてこう称している。
多くのアイアンマン完走者や持久スポーツのアスリートがこの精神状態を経験するようだ。実に10%もの持久スポーツアスリートがうつ状態にあるとの報告もある(Morganら、1987年)。多くの持久アスリート、特にアイアンマンを目指すアスリートでは、まるで人生最後のレースに賭けるかのごとく、過剰なまでのトレーニング量で自らを追い込み心身を酷使している傾向が強い。また、この傾向は、勝つことやライバルからのプレッシャーが多く、目標設定がきっちりされて義務感や意志が強く、また完璧志向でよくトレーニングされたアスリートほど強いという(PufferとMcShane、1992年)。そして、このようなアスリートでは、オーバートレーニングに陥りやすく、それがやがて怪我や故障を引き起こしてトレーニングができない状態になるばかりか、レースの後よりももっとすさまじい抑うつ感、焦燥感、脱力感、不眠などの症状に見舞われることがある。
これまでの研究によると、過剰なトレーニングや過酷な試練(アイアンマンのような・・・)により引き起こされるうつ症状などの精神的障害は、脳内のセロトニンというホルモンの分泌低下により引き起こされると考えられている(Uusitaloら、2004年)。また、運動後は、ベータ・エンドルフィンという快楽ホルモンが多量に分泌されることが知られており(図)、これが「ランナーズ・ハイ」の原因だとさえ言われた(その科学的根拠はいまだはっきりしない)。
アイアンマンのような非常に刺激の強いベータ・エンドルフィン「誘発剤」は、レース後数日間は最高の快楽感をもたらすが、やがてその刺激が止むとベータ・エンドルフィン分泌量が一気に低下し、これが脱力感や空白感を引き起こす(Scullyら、1998年)。つまり、禁断症状が現れるのだ。これはもはや依存症とも言えるかもしれない。また、これがエスカレートすると耐性(量が増えないと効かなくなる)が生じ、結果、レースの出場回数やトレーニング量を増やさないと満足いかなくなってしまう。これはもはや薬物中毒と同じようなものだ。
生命は、肉体が滅びぬよう心理的な側面から制御をかける仕組みをもつ。つまり、肉体が破壊されそうな激しいトレーニングを行うと、痛みや精神的苦痛を意図的に引き起こすことにより警告を発し、意欲をくじきトレーニングの継続を阻もうと作用するのだ。こうして、肉体の破壊から生命を守っているのだ。まずは、その声に耳を傾けよう。そして、レース前にレース中のことを考えるように、レース後のこともよく考えておきたい。レースを行っても行わなくても現実はそこにあるのだから。レース後は肉体と精神の疲労回復に積極的に努め、心の空白感はレースの喜びを家族や仲間と分かち合うことや、生活の中のまた別の要素で満たすよう心がけてみたらどうだろうか。
「アイアンマンは人生の意味を与えてくれるものでもなく、生活の中の問題を解決してくれるものでもない」(ポーラ・ニュービーフレイザー、「Triathlete」1998年)少し覚めた話になったが、楽しみで始めたトライアスロンと思い存分長く楽しくつきあっていくためには避けては通れない重要なことだと考えている。トライアスロンの楽しみを感じるのも私たちの健全な心なのだから。